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2017年07月15日 09時49分

道路に面した私有地から木が倒れ、男性死亡…土地所有者と道路管理者の責任は?

道路に面した私有地から木が倒れ、男性死亡…土地所有者と道路管理者の責任は?
今回の事故現場となった県道(熊本市提供)

熊本市の県道で6月25日夜、道路に面した私有地から大きな木が倒れ、乗用車を運転していた男性が亡くなった。報道によると、現場は片道1車線の県道。道路の左側にある私有地ののり面から、長さ約9メートル、直径約50センチの木が車の天井に倒れたという。

熊本市によると、生い茂っている竹などが道路に倒れてきそうだったため、2014年に1度、文書で土地の地権者に対して木の伐採を依頼した。地権者は対応しないままで市が処理したこともあるというが、市の担当者は「樹木の処理を地権者がするのは、当然のことと考えている」と話した。

道路付近で生い茂る木々による事故が起きた場合、地権者に責任があるのだろうか。それとも道路管理者も何らかの責任を負うのか。湯川二朗弁護士に聞いた。

●安全性を欠いている場合、土地所有者は損害賠償義務を負う

土地所有者の責任はどうなのか。

「木竹の植栽または支持に、通常有すべき安全性を欠いている『瑕疵』があることによって他人に損害を生じたときは、その木竹の占有者・所有者がその損害を賠償する義務を負います(民法717条1項、2項)。

今回の場合、道路に面した土地に大きな木が生えていて、それが道路に倒れてきそうな状況でした。また、木の大きさからすれば、それが倒れたときは道路通行者に危害を及ぼすことは当然に予見されたでしょう。

さらに、道路管理者である市からも『生い茂った竹などが道路に倒れてきそう』と木の伐採を依頼されていたのに、それに対応しなかったというのですから、木の生えている土地の所有者は、事故の損害を賠償すべき義務を負います」

●道路管理者も地権者任せにしておくことは許されない

では、道路管理者である市の責任はどうなのか。

「道路や河川など、国や公共団体が設置・管理する『公の営造物』に『瑕疵』があったために他人に損害を生じたときは、これを賠償する責任があります(国家賠償法2条1項)。道路として通常有すべき安全性を欠くときは、道路の管理に瑕疵があるとされます。

木竹が生えているのが道路敷の外の私有地であったとしても、その木竹が道路上に生い茂り、道路に倒れてきそうなことを道路管理者が認識しており、現実にその木竹が道路上に倒壊して道路の通行を妨げたような場合は、道路として通常有すべき安全性を欠いていると言わざるを得ません。そのため、道路管理に瑕疵があったと言うことができ、道路管理者である市は国賠法2条の責任を負います。

さらに、道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、一般交通に支障を及ぼさないように努めなければなりません(道路法42条1項)。

また、道路の交通に及ぼすべき危険を防止するため必要があるときは、道路に接続する区域を沿道区域として指定して、当該土地、竹木の管理者に対して交通の危険を防止するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができます(道路法44条1項、4項)。

さらには、道路管理者自ら代執行もできるのですから、道路の状況によっては、道路管理者がそれらの道路管理義務を怠ったとして国家賠償法1条の責任を負うことも考えられます」

今回のケースで、市は処理をしたこともあるそうだが、結果的に事故が起きてしまった。

「担当者が言うように『樹木の処理を地権者がするのは、当然のこと』だとしても、地権者任せにしておくことは許されません。

実際に現場を詳しく調査してみないとわかりませんが、もし、処理が不十分なものであったとするならば、木竹の占有者・所有者の民事上の責任と市の国賠法上の責任は、共同不法行為として連帯責任になるものと考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

湯川 二朗弁護士
京都出身。東京で弁護士を開業した後、福井に移り、さらに京都に戻って地元で弁護士をやっています。土地区画整理法、廃棄物処理法関係等行政訴訟を多く扱っています。全国各地からご相談ご依頼を受けて、県外に行くことが多いです。
所在エリア:
  1. 京都
  2. 京都市
  3. 中京区
事務所名:湯川法律事務所

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