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2017年03月01日 10時01分

「無届け」出会い系アプリで初の逮捕者、何が規制対象になっているのか?

「無届け」出会い系アプリで初の逮捕者、何が規制対象になっているのか?
App Storeの説明文(ぼかしは編集部)

スマホアプリ「年上フレンズ」の運営会社社長ら3人が2月22日、「出会い系サイト規正法違反」の疑いで埼玉県警に逮捕された。「出会い系」の運営業者は、公安委員会に届け出て認定を受けなくてはならないが、無届けで運営していたそうだ。報道によると、届け出がないことを理由に、出会い系アプリで逮捕者が出るのは初めてだという。

「年上フレンズ」のダウンロードページを見ると、「少し年齢の離れた相手を見つけて仲良くする」との説明がある。具体的には、顔写真などから相手を選び、アプリ内のチャット機能を使って、1対1でメッセージをやり取りする仕組みだったようだ。

規約などには、「異性交際を目的とした出会い」は禁止、「異性とのサービス出会い・交際を斡旋するものではありません」との記載があるが、実態は違うと判断されたとみられる。報道によると、男性のみ有料。2016年に約3万人の男性会員(女性会員は約1400人)を獲得し、7000万円ほどの売り上げがあったという。

●大手はサイトフッターで「届出」の表示をしているが…

「出会い系」では、PCMAXやハッピーメール、ペアーズなどが宣伝に力を入れており、よく知られている。これらのサイトを見ると、サイトのフッターに「インターネット異性紹介事業届出」などといった表記があることが多い。

一方で、アプリストアで検索すると、そういった表記がないアプリを多く見つけることができる。中には、届出をしていない業者もありそうだ。出会い系サイトの規制はどのようになっているのだろうか、奥村徹弁護士に聞いた。

●サイト上で「面識のない異性」と「1対1」のやり取りができるか

いわゆる「出会い系サイト」については、「出会い系サイト規制法」が設けられて、事業者の届出制・児童の排除・児童への誘引行為の禁止が定められています。

同法では出会い系サイト(インターネット異性紹介事業)を次のように定義しています。

「異性交際(注:面識のない異性との交際)を希望する者の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業」(2条2号)

この定義に当てはまる限り、SNSや掲示板であっても、実情が知らないうちに法律の要件を満たしてしまい、出会い系サイトとして規制を受けることがあります。かつて、mixiやGREE、DeNAなどが、警察から警告を受けています。逆に一般には「出会い系」と認識されていても、法的には違うというパターンもありえます。

●なぜ「無届け」の出会い系アプリは摘発されて来なかったのか?

定義のポイントの1つは、面識のない異性との交際(異性交際)に限定されているということです。同性との交際を目的とする場合には適用されません。これは、制定当時、そういうサイトで、もっぱら女子児童が、男性から性犯罪・福祉犯・強盗などの被害に遭うことが多発したので、ピンポイント的に悪質な行為だけ規制したためです。

また、「異性交際希望者と相互に連絡」という部分も重要です。出会い系アプリについては、一般的に定義の前半部分には該当しますが、サイト内メールなど「1対1」でやり取りする機能がない場合があります。

たとえば以前、私が調査のために、何種類かダウンロードしてみたときには、LINEやカカオトーク経由で連絡する仕様のアプリが多くありました。こういう場合は、「電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する」に該当しないと解釈されています。

そのため、この種のアプリには、出会い系サイト規制法は適用されにくいと理解されていました。実際に出会い系アプリで、公安委員会への届出をしている業者はあまりいないのではないかと思います。

●自前の通信機能なくても「摘発」の可能性自体はある

もっとも、警察庁が公表している「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン(https://www.npa.go.jp/cyber/deai/business/images/01.pdf)によれば、自前の通信機能がなくても、微妙な部分もあるようです。

ガイドラインの中では、アプリ上で電話番号やメールアドレスなどを掲載しても、事業者が通信役務を提供しているとは言えないので、「出会い系サイト」に該当しないとされています。

一方で、連絡先を明記しなければ、書き込みそのものができず、閲覧者がその連絡先を知れるものについては、「相互に連絡することができるようにする」役務を提供していることになり、出会い系サイトに該当する可能性があります。

●逮捕の背景には、自前の通信機能を持つアプリの増加がある

今回の逮捕についてですが、最近は自前で1対1の通信機能を提供するアプリが現れ、出会い系サイト規制法に抵触することになったので摘発に踏み切ったと考えられます。

出会い系アプリの管理者にあっては、アプリが法律上の「出会い系サイト」に該当しないように仕様変更するか、届出を行うなりの対応が必要でしょう。

なお、利用者の側からすれば、届出のあるサイトの方が安心であることは言うまでもありません。

(弁護士ドットコムニュース)

奥村 徹弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員
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