相続を中心に民事・刑事問わず様々な案件に対応 犬を愛する弁護士としてペット信託にも取り組む
依頼者の話の背景にある事情も把握し、最善の解決方法を探る
ーー弁護士を目指されたきっかけや理由を教えてください。
高校時代に将来について考えたとき、企業に勤めるよりも、資格を取って自立して働きたいと思ったんです。
資格職のなかで、特に興味を惹かれたのが法律家でした。法律という、世の中全体を動かしているルールを学び、紛争を解決する。そのような仕事に対してやりがいを感じ、将来は法律家を目指そうと考えました。
大学時代は、司法試験の受験をサポートしてくれるサークルに入り、合格した先輩方から勉強の手ほどきを受けたりしていました。
当時の私にとっては、司法試験に合格した先輩は本当に優秀に見えました。先輩と同じレベルに達することを目指して、毎日必死で勉強したことを覚えています。合格したときは、嬉しさよりも、ホッとしたという気持ちのほうが大きかったです。
法曹三者の中でも弁護士を選んだのは、転勤がある仕事よりも、1つの地域に根ざして働きたいと思ったからです。自分の裁量で仕事ができることにも惹かれました。
ーー注力分野と、依頼者のために心がけていることを教えてください。
民事・刑事問わずオールラウンドで対応していて、あえて注力分野は設けていません。様々な案件を手がけていますが、そのなかでも相談が多く、特に力を入れているのは相続の案件です。
依頼者に対しては、相談内容をじっくり聞き、依頼者の話の背景に潜む事情まで把握することを心がけています。
たとえば相続の案件で、相続人の1人が財産の取り分に納得せず、話し合いがまとまらない、という相談が寄せられたとします。
このような場合、その相続人が取り分を不満に思う背景には、どのような家庭の事情があるのか、依頼者の話を聞きながら探っていきます。相続のような親族トラブルでは、家族間の長年のしがらみが、財産の取り分をめぐる争いとして噴出していることがよくあるためです。
紛争の根本的な原因はどこにあるのか把握し、相続人全員が納得できる形で相続の手続きを進められるよう、対応方法を考えていきます。
ーー相続に関して、ペット信託のサービスも提供していると伺いました。
相続の案件を手がけるなかで、ペットが、飼い主の死後に行き先をなくし、保健所で殺処分されるケースがあると知りました。私も犬を飼っている者として、非常にショックを受けました。
遺されたペットを殺処分から守り、幸せな一生を送れるようにするための方法として取り組み始めたのがペット信託です。これは、あらかじめ、信頼できる人に財産の一部を託して、自分がペットを飼えなくなったときはその財産から新しい飼い主に対して飼育費が支払われる仕組みです。私の事務所では、親しみを持ってもらえるよう、「アニライフ年金」と名づけて運営しています。
ペットを飼っている人なら、一度は「自分が先に亡くなったら、この子はどうなるのだろう」と考えたことがあると思います。ペットのために財産を残し、自分の死後も、ペットが幸せな生涯を全うできるようにするための方法としてご提案しています。
相続人の思いに胸を打たれたエピソード
ーー弁護士としての活動で、印象に残っているエピソードを教えてください。
最近手がけた、相続の案件が印象に残っています。
相続で揉めるケースの多くは、相続人が「自分が損をしたくない」「他の相続人より多く財産がほしい」と自分の欲求を通そうとするために、トラブルが発生します。
しかしこの案件では、どの相続人も自分のことは二の次、三の次で、皆が、相続人の1人である母親のことを一番に考えていました。
誰もが「父亡き後、母が安心して暮らせるように、少しでも多くのお金を受け継いでほしい」と考えていて、「私はこの財産がほしい」などと主張する人は皆無でした。
最終的には、相続人全員が納得する、非常に綺麗な結果にまとめることができました。1人の相続人のことを他の全員がこれほど大切に考えている事例は珍しく、印象に残っています。
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
クラシック音楽の鑑賞が趣味なので、休日はコンサートに行ったり、自宅でCDを聴いたりして過ごしています。バロックから現代曲まで幅広く聴きます。
9年前から犬を飼っていて、2時間くらい散歩することもあります。うちの犬は寄り道をするのが好きで、あまりスッスッと歩かないんです。一緒にゆっくり歩いていると、いつの間にか結構時間が経っていることがよくあります。でも、仕事から離れてのんびりできるのでいいリフレッシュになっていますよ。
取り返しがつかない行動を起こす前に、弁護士に相談を
ーー今後の展望を教えてください。
今までどおり、お受けした事件に丁寧に取り組み、綺麗に終わらせることが基本だと思っています。
相続分野は特に力を入れたいと考えていますが、専門特化するのではなく、民事事件、刑事事件、家事事件と幅広く対応していきたいです。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
どの先生もおっしゃることだと思いますが、とにかく早めに相談することをおすすめします。1人で悩んでも先には進めません。
よくあるのが、悩んでいる間に、トラブルの相手方から書類にサインするよう求められて応じてしまうケースです。書類に判を押したりサインをしたりすると、その書類の内容に合意したという意思表示が証拠として残ってしまいます。一度そのような証拠ができてしまった後に弁護士に相談しても、法的に何も手を打てない可能性があります。
1人で悩みを抱え込み、取り返しのつかない行動をしてしまう前に、早めに弁護士に相談する。このことをぜひ、頭の片隅に置いておいていただければと思います。