「双方がWin-Winとなる解決を」 争いのない社会を目指して企業法務に注力
努力が報われる職業に就きたかった
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
弁護士を目指そうと思ったのは、中学3年生の頃です。はじめは仕事の内容よりも資格が必要な職業であることに魅力を感じていました。
一般企業への就職活動は、能力が高くても面接官の印象によって採用されないことがあります。自分がどれだけ努力しても希望する会社に入れない可能性があるのに比べ、資格が必要な職業は試験に合格すれば道が開けます。
誰からもコントロールされることなくなれる職業に憧れ、資格の中で司法試験が文系の最高峰だと思い、法学部に進んで弁護士になることに決めました。
ーーどのような学生生活でしたか?
高校生まで野球をしていたのですが、大学では登山サークルに入って学生生活を楽しんでいました。
サークル以外に居酒屋のアルバイトも楽しかったです。もともとコミュニケーションを取ることが好きだったので、ホールスタッフとして接客するのが性に合っていたんだと思います。
大学時代だけでなく、司法試験に合格してから修習が始まるまでの数ヶ月間もアルバイトをするほど居酒屋のアルバイトが好きでした。
弁護士もサービス業で人と接する仕事なので、お客様に喜んでもらうためのサービスを提供するという点で、居酒屋のアルバイト経験が活きていると感じることがあります。
ーー注力している分野を教えてください。
企業法務に注力しています。
以前勤めていた事務所では交通事故を扱うことが多かったのですが、弁護士2年目に独立を意識しだした頃から、企業の仕事を増やしたいと思うようになりました。
私は「Win-Winを実現する」ことを理念としています。「どちらかが勝ってどちらかが負ける」という状態ではなく、双方が希望を成就する社会になってほしいという思いから、こうした理念を掲げています。
刑事事件や民事事件のように起きてしまった事件をWin-Winで解決するには難しいこともありますが、紛争を未然に防ぐ予防活動であれば多くのWin-Winが実現できるのではないかと考えました。そうした予防活動のニーズがあるのは企業ではないかと思ったんです。
また、企業には従業員をはじめ多くの人が関わっていますから、企業の仕事をすることで多くの人の幸福を実現できるのではないかと考えました。
「Win-Winクリエイター」という肩書きを作って名乗っているのですが、Win-Winを実践することで争いのない社会を実現したいと思っています。
依頼者に寄り添うことの意味
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
企業の経営者にとって、目の前の問題もさることながら、経営の持続や会社を発展させることが本当の意味での問題解決になります。
法律に関する相談を受けた際には、表面的な問題だけに目を向けるのではなく、経営活動のプラスに繋がる提案をするように心がけています。
企業法務をするようになって「経営者は孤独」だということに気づきました。弱みを見せないように振る舞ったり、決断が求められる場面で誰にも相談できなかったりと、会社や従業員のために一人で悩みを抱えている経営者が多いように思います。
企業法務であっても関わるのは人なので、個人のお客様と変わらず寄り添うことを大切にしながら取り組んでいます。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
弁護士3年目に、学びを得た事件がありました。
守秘義務のため詳細は省きますが、依頼者は男女問題の相談に来た女性で、相手の男性に対して損害賠償を求めていました。
10〜20万円くらいの賠償金になるだろうと考えていたところ、交渉の末に80万円で示談できることになったんです。当初の見込みからしたら十分すぎる金額でした。
ところが、示談が成立する直前になって依頼者が「お金だけでは納得できない」と言い出したんです。「お金を払えば万事解決」となるのが嫌だったのでしょう。
依頼者の気持ちも理解できましたし、できる限り寄り添いたいと考えていたので、依頼者の意向を汲んで示談の条件として、賠償金以外に謝罪を要求することにしました。
しかし、相手方はこの要求を受け入れませんでした。その結果、まとまりかけていた示談は破断になり、法的な措置を取ったところ、80万円をはるかに下回る損害賠償金での決着となりました。
依頼者に寄り添うことは大切ですが、依頼者の感情を優先することがいい結果に繋がるとは限らないと学びました。
このことをきっかけに、事件に取り組む際には何が最善なのかを考え、依頼者の納得が得られる解決を目指すために相談の段階からしっかり話をすることを心がけるようになりました。
「戦略的法務」で企業を総合的に支援
ーー休日の過ごし方を教えてください。
休日は弁護士会の野球部の練習に参加しています。去年から子どもが野球の練習についてきたがるようになって、キャッチボールにも興味を示すようになったんです。私と同じように野球が好きになってくれるといいなと思っています。
それと、子どもにスキーを覚えさせたいと考えているところです。冬は野球がオフシーズンになってしまうので、子どもと一緒にスキーをして冬を過ごしたいと思っています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
「戦略的法務」と呼んでいるのですが、予防法務や紛争解決だけでなく、組織の課題解決や人材育成など、戦略面を含めた支援で企業の経営活動に役立つ弁護士を目指しています。
また、コロナ禍でオンライン化が進んだことによって場所の制限が薄れたように思うので、動画配信やオンラインセミナーといった離れた場所にいても提供できるサービスを増やしていきたいと考えています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
弁護士に相談することをためらう人の中には、不倫をしてしまったとか、ギャンブルで借金をしてしまったとか、自分に落ち度があって話しづらいという人もいるかと思います。
弁護士は説教をするのが役目ではありません。目の前の問題を一緒に解決するために存在しています。どんな問題であっても否定したり怒ったりしませんので、安心して相談しにきて欲しいです。