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2018年12月24日 09時58分

「ぼったくりバー」どう逃れる? はじまりは「1杯もらっていいですか」

「ぼったくりバー」どう逃れる? はじまりは「1杯もらっていいですか」
写真はイメージです(horiphoto / PIXTA)

お酒を飲む機会が増える年末年始。ただ、気が大きくなると、思わぬ被害に遭うかもしれない。少女スタッフを巧みに使った恐ろしい「ぼったくり」手口があることを、毎日新聞(12月16日付)が報じた。

舞台は大阪・ミナミ。「飲み放題で1時間3000円です」と声をかけてくる少女の誘いに乗って、ガールズバーに入ると「1杯もらっていいですか」とおねだりをされる。「飲み放題」といいつつ、少女らの飲み物は「1杯5000円」もの高額で加算されていく。

今年6月、酔いつぶれた20代の男性が店内で目を覚ますと、65万円を店から請求された。吐いて床を汚したということでクリーニング代も含まれた。支払いを拒むと複数の男から殴られて、スマホや財布を奪われたという。

こうした事例は極端なのかもしれないが、歓楽街での「ぼったくり」の被害は根絶していない。どのように注意してバーなどで酒を飲むべきだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。

●支払うと返金にハードル

ーー「ぼったくり」が疑われるほど高額代金を請求してくる店に対し、どのような対応をしたらいいでしょうか

「まずは、店側に説明を求めたり、料金表を見せてもらうなどして、内訳や請求金額が正しいかどうか、確認をしてください。

そのうえで、金額が不当に高い場合には、支払いを拒絶しましょう。店側が『無銭飲食で、警察を呼ぶ』といってきた場合には、警察官に来てもらいましょう。

警察官は、代金が適正かどうかという民事の判断には立ち入りませんが、いったん支払ってしまうと取り戻すのは困難です。たとえば、スタッフの分については『1杯1000円であれば支払う』といった提案をして、請求額の一部のみ支払う方法が考えられます」

ーーもし支払った場合、返金してもらうことはできますか

「たとえ飲食代を確認しなかったとしても、注文によって『飲食物提供契約』は成立しています。原則として、代金を支払う義務がありますので、返してもらうことはできません。

具体的な状況から、『代金がこんなに高い』と思わず注文した(錯誤無効)、店側がこちらを騙して高い酒を注文させて高額請求してきた(詐欺取消)、という主張が認められれば、返金される可能性もあります。ただし、あくまで、例外的です。

また、例外的に返金の請求ができる場合だったとしても、このような店が話し合いで返金に

応じる可能性は低いでしょう。話し合いで解決できなければ、最終的には、裁判しかありません。

しかし、店の経営者が誰かわからない場合も多いでしょうし、数万円を取り戻すために裁判をする手間や費用をかけることは現実的に難しいと思います」

●酒をねだられた場合は値段に注意

ーーどういうことに注意して飲みに行けばいいのでしょうか

「飲食店で、不当に高い金額を請求された場合、支払わずにその場を逃れることも、いったん支払って返金を求めることも、難しいため、そのような事態に陥らないことが大切です。

まず、このような店は、キャッチと呼ばれる客引きをしているケースが多いでしょうから、安易にキャッチの誘いに乗らず、信頼できる店に行くことです。

そして、酒をねだられた場合は値段を確認することで、トラブルを予防していただきたいと思います」

ーー極端かもしれませんが支払いに応じない客に暴行を加えるような店の場合、いったんその場から逃げることをすべきでしょうか

「身の安全を確保するため、ともかく一旦店を離れるというのは一案です。ただ法外な金額を請求し、支払いを拒否すると暴行を加えるような店から、泥酔状態の客が一人で逃げだすというのは困難だと思います。

身の安全確保と、正当な請求部分であれば支払う(無銭飲食ではない)ことを明らかにするため、通報して警察官に来てもらいたいところです」

(※12月25日、一部表現を修正しました)

(弁護士ドットコムニュース)

田村 ゆかり弁護士
経営革新等支援機関。2016年度沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。
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