トイレ回りをササッと掃除できて、そのまま便器で「流せる」トイレクリーナー。その便利さが受けて一般家庭にも広く普及しているが、多くの製品が「景品表示法に違反している可能性がある」という指摘がある。消費者庁が昨年末に警告し、各メーカーが対応に追われているというのだ。
朝日新聞によると、「流せる」トイレクリーナーについて、この10年ほど、「詰まった」「ほぐれない」といった苦情が国民生活センターに寄せられてきた。クリーナーに品質基準はないが、消費者庁がトイレットペーパーの日本工業規格(JIS)を使って品質検査をしたところ、クリアしたのは15製品中2製品だけだった。
トイレ詰まりの修理を業者に頼むと、おおむね数千円の費用がかかるようだ。「流せる」と表示されている製品を流したのに、トイレが詰まってしまった場合、消費者はメーカーに費用を請求できるのだろうか。消費者問題に詳しい田中厚弁護士に聞いた。
●「トイレが詰まった」ら、製造物責任法に基づき、修理費を請求できる
「もし『トイレに流せる』とうたっている商品が流れず、トイレが詰まったら修理費を請求できます」
田中弁護士はこう指摘する。どんな根拠で請求ができるのだろう。
「製造者責任法に基づいて、欠陥商品を販売したメーカー側の『不法行為責任』が問えます。『流せるトイレクリーナー』の場合、トイレに流すのは『通常予想される使用形態』と考えられます。それにもかかわらず、トイレが詰まってしまうのは『安全性を欠く』。つまり欠陥と言えます」
「通常予想される使用形態」とは?
「『流せる』と書いてある商品を、トイレに流すのは普通だということですね。ただ、例えばメーカーが『一度に大量に流さないで』というような表示をしていて、消費者がその指示に従わなかった場合は、メーカーの責任とはならない場合があります。そういった注意書きが何もなければ、消費者が非常識に大量のトイレクリーナーを一挙に流そうとしたなど特殊な事情がない限り、メーカー側が責任を負うことになるでしょう」
確かに「流せる」と言われれば、トイレットペーパーと同じように流して良いという印象を受ける。メーカー側が「トイレットペーパーとは違う」というのであれば、それなりの表記が必要だということだろうか。