消費者庁の霊感商法等への対策検討会の第6回会合が10月4日、オンラインで開かれた。これまで出された論点についてフリーディスカッションし、近く取りまとめに入る。
旧統一教会について、宗教法人法に基づく解散命令を出せるかどうかについては、現在、文部科学省が消極的な姿勢を見せている。有識者からは「猛省を促したい」「質問権を行使するなど、まず調査に乗り出すべきだ」などと厳しい意見が相次いだ。
●「文科省が調査するのは最低限だ」
これまでの議論では、所轄庁(文科省宗務課)は同法に規定される質問権すら行使したことがないことが指摘されていた。
菅野志桜里弁護士は「著しく公共の福祉を害すると、明らかに認められる行為をした疑いがあると認めるとき」の要件に該当するとした上で、質問権等を行使して解散命令請求の判断に向けた調査を速やかに開始することが最低限だと話した。
また、紀藤正樹弁護士は消費者庁も利害関係人として申し立てできるのでは、と提案。宗務課は情報収集窓口がないため、実態について確認する手立てがないことを広く見たほうがいいと述べた。
宗務課は8人で、18万以上の宗教法人を管轄しており、人員や予算は小規模だという。紀藤氏は「消費者庁と共同申し立てなども検討してほしい」と強調した。
●オウム真理教の時から無作為
紀藤氏はオウム真理教について問題化していた1995年に、国が審議会で議論した「宗教法人制度の改正について」とされる報告書から、最後に指摘された一文を紹介した。
現在国民の宗教に関する関心は極めて高く、宗教に関する情報提供や苦情相談などを行う組織の設置を求める声が強いことから、そのような組織を宗教関係者はじめ、弁護士、宗教学者、心理学者、学識経験者など関係者が連携協力して、自主的に設置運営することについて検討するべきであると考える
「文化庁は、この内容を全く検討せずに現在に至っている。苦情相談の窓口もない。私は、これを行政の怠慢だと思います」
座長の河上正二東大名誉教授が取りまとめに向けて論点をまとめたメモにも「宗教法人法の活用に対して文科省は消極的態度を示しており、その姿勢には、猛省を促したい」と記述している。