9月16日に行われた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の集会では、旧統一教会や、首相をはじめ関係省庁の大臣らに向けた17ページの声明が発表された。
顔を連ねたのは2000年代初頭に弁護士登録した、弁連のいわゆる「第2世代」。旧統一教会に信教の自由の侵害をやめることなどを要求したことに加え、文部科学相には解散命令を請求、厚生労働相には2世の虐待への対応などを求めた。
事務局長の川井康雄弁護士は「内容はかなり絞った。少なくともしていきたいことを盛り込んだ」と話す。今回は初めて、現教会員に向けた「力になります」というメッセージも発し、この機を逸することなく、すべての被害者を救済しようとする決意がにじんだ。
●弁護士5人が各省庁に次々と「提言」
川井弁護士が冒頭に声明の趣旨を述べた後、続いて4人がそれぞれの分野について詳細を語った。被害者の相談に向き合い、訴訟を闘っている面々だ。
旧統一教会に対しては(1)信教の自由を侵害しないこと(2)謝罪と損害のすべての賠償(3)献金等の記録開示(4)子どもへの信仰には権利条約に基づいて指導することーーを求めた。
また首相には「フランスなどカルト対策に先進的な外国の制度を参考に、基本法の制定も視野に入れた法制度の整備し、施策を講じられたい」と訴えた。
●現教会員へのメッセージも
閣僚の中でも、宗教法人を所管する文化庁を含む文科相には、最も多くの項目を割いた。阿部克臣弁護士によると、日本ではオウム真理教の事件があったにもかかわらず「カルトのふきだまり状態だ」といい、宗教法人法に基づく解散命令のほか、被害の総括的な調査も要求した。
さらに今回、最後には現信者に向けたメッセージも初めて盛り込んだ。久保内浩嗣弁護士が立ち上がり「教会員のみなさん。私たちはサタンではありません。敵ではありません。力になりたいと思っています」と台本を見ることなく訴えかけた。
久保内氏は「現役信者も正体を隠した伝道を受けた被害者です。その被害者が、加害者にもなる。銃撃事件をきっかけに疑問を感じ、相談してきた人がいる。それは、相当なハードルを越えることだったと思う。迷っている人の背中を押せればいい」とおもんぱかる。
20家族の相談を受けているカウンセラーから情報を聞いたという吉田正穂弁護士も「現役信者はかたくなになっている。救われるのは数年後になるかもしれない。だからこそ今何らかのメッセージを発したいと思った」と付け加えた。
●7時間の集会に220人が参加
このほか、日仏の弁護士資格を持つ金塚彩乃弁護士から反セクト法についての紹介があったほか、フリージャーナリストの鈴木エイトさんによる「自民党の政治家と旧統一教会の癒着」についての報告などがあった。
集会は記者会見を含めると約7時間にわたり、会場には105人が来場、オンラインを含めて220人が参加した(申込数)。