2019年06月25日 17時44分

「給料泥棒」と呼ばれ、正社員から業務委託へ 生活苦の労働者「偽装請負」で提訴

「給料泥棒」と呼ばれ、正社員から業務委託へ 生活苦の労働者「偽装請負」で提訴
会見の様子(2019年6月25日、弁護士ドットコム撮影、さいたま市内)

布団販売などを手がける「丸八ホールディングス」(横浜市)の子会社が偽装請負を行い、多額の経費負担を長期にわたり押し付けてきたとして、元従業員16人が6月25日、同社などを相手取り、1億7800万円あまりの損害賠償を求める訴えをさいたま地裁に起こした。

●業務委託のはずが、指示・命令を受けながら営業

訴状などによると、子会社は「ハッチーニ丸八」。原告16人は当初、ハッチーニ丸八で正社員として働いていたが、期待される売上水準に届かないことなどを理由に、「給料泥棒」「売れない社員はぶら下がり社員だ」などと叱責され、業務委託契約への切り替えを事実上、強いられた。

切り替えは1990年〜2009年にかけて行われたが、その際に不利益な労働条件への変更であることの説明は十分なかったとしている。

切り替え後は、車両燃料費や車検費、営業出張費などの経費が自己負担となる一方で、本来なら独立した事業主(代理店)として裁量ある働き方ができるはずだった。ところが経費は自己負担なのに、渡された携帯端末などを通じて詳細な業務指示を受けていたという。

具体的には、(1)商品の販売価格は指示され自由に決められない(2)正社員と同様に朝礼に参加しなければいけない(3)午後5時までに営業時間を終わらせないよう指示が出ていた(4)営業現場への直行・直帰が認められない(5)出張販売などへの参加が義務ーーなどだった。

原告側は「詳細な業務上の指示・命令を受けながら営業活動をしてきたのであり、いわゆる『偽装請負』にあたり、原告が実質的に労働基準法上の労働者にあたることは明白だ」と主張している。

●フルタイム勤務で月給5万円に満たないことも

提訴後に原告らがさいたま市内で開いた会見では、原告のひとりが、経費負担による生活苦を訴えた。

手取りがゼロだったり、月の売り上げが経費を下回るマイナス状態になることもあるという。例えば、フルタイムで週5〜6日働くある原告の場合、2018年11月から2019年4月までの6カ月間の賃金が、計28万2273円にとどまった。月給換算で4万7045円となった。

原告側は「ハッチーニ丸八から負担させられた経費を差し引かれてきわめて低廉な賃金しか支給されず、基本給もなく、月々の賃金額が変動しゼロとなる月もある」と指摘し、「生活費や子どもの教育費などをまかなうため、借金せざるを得ないなど厳しい経済状態に追い込まれている」とした。

また原告は同日、訴訟提起と並行して、埼玉県労働委員会に対して団交命令などの獲得を求める救済申立も行ったという。

●丸八HD「コメントできない」

丸八ホールディングスの担当者は取材に対し、「内容を把握していないのでコメントはできません」と話した。

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