2019年06月06日 16時06分

龍角散の元法務部長が提訴「社長のセクハラ疑惑、調査したら解雇された」と主張

龍角散の元法務部長が提訴「社長のセクハラ疑惑、調査したら解雇された」と主張
会見に参加した女性(2019年6月6日、弁護士ドットコム撮影、東京都)

のど薬で有名な「龍角散」(東京都千代田区)の元法務担当部長の50代女性が、社長によるセクハラ行為の調査をしたところ、解雇されたのは不当として、解雇の無効を求める訴訟を6月6日、東京地裁に起こした。支給されるはずだった賃金や賞与など約1969万円も求めている。

提訴後、女性は東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いた。

「私自身、本当は忘れたいことですが、陰ながら応援してくれる仲間と、会社の健全な運営のために勇気を出さなければ、ハラスメントは継続し、第二、第三の被害者が出ると思い、勇気を出すことを決めました」と話した。

●社長は「セクハラなんかしていない」と否定

訴状などによると、女性は2012年4月、法務担当の管理職として中途採用された。翌年には法務担当部長に昇格。2013年度以降、期末人事評価では一番評価の高いS評価を受けており、社長も女性の貢献を認めていた。

女性は12月7日、社長が6日に開かれた忘年会で、当時業務委託契約を結んでいた女性に対し、「君が大好きなんだよ」「首筋がゾクゾクするよ」などと言い、手や背中をさすったり、一方的に抱きついたりするセクハラ行為をしていたと出席者から報告を受けた。

12日に社長室に呼び出された際に、社長のセクハラ行為に触れた上で「第三者相談窓口が必要」と話したが、社長は「セクハラなんかしていない」と否定したという。

14日には、人事課長と共にセクハラを受けた女性と忘年会の参加者にヒアリングをおこなった。その際、被害女性の側からも「第三者相談窓口が必要」といった話が出たという。

女性は17日、突然社長室に呼び出され、社長から「セクハラなんてなかったのに、セクハラをねつ造してけしからん。(被害を受けたとされる)女性はセクハラなんか無かったと言っているじゃないか」などと言われた。その場でパソコンや社員証などを取り上げられ、口頭で自宅待機を命じられたという。

2019年1月、会社が依頼した弁護士によるヒアリングが行われたが、その後何も連絡はなく、引き続き自宅待機をしていた3月26日、文書で解雇通知(3月28日付)が届いた。

会社側は解雇理由として「(被害を受けたとされる)女性の認識や意向とは異なる申告をさせた」、「適切なヒアリング手段をとらなかった」ことが、就業規則の懲戒事由に該当すると主張している。

●「解雇はその権利を濫用したもので違法」

女性は以前から、法務やコンプライアンスの勉強会で、セクハラに関する第三者相談窓口を置くべき義務があることを学び、社長に願い出ていたが、実現していなかった。

女性自身も過去に、社長室に呼び出されて抱きつかれたことなどもあり、今回の事案についても「会社の健全な運営のために、セクハラ被害者のヒアリングを行い、第三者相談窓口の設置を検討した」と振り返る。

女性の代理人である伊藤安奈弁護士は「解雇理由のいずれも事実無根と考えている。時代の流れに逆行するような解雇があってはならない」と会社の対応を批判。「客観的合理理由を欠き、社会通念上相当性もないことは明らかであるから、解雇はその権利を濫用したものとして違法、無効である」と指摘した。

●龍角散「コメントできない」

龍角散は弁護士ドットコムニュースの取材に、「訴状が届いていないので、コメントできない」と回答。同社は6月6日、HPで以下のコメントを発表した。

「当社といたしましては、当社と利害関係を有しない法律事務所に依頼して調査を行いましたが、セクハラの事実は認められなかったとの報告を受けております。

現時点では、当社に訴状が届いておりませんので、訴状を受領次第、内容を検討し、適切に対応してまいります」

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