東京大学が4月から、非常勤講師が「無期転換申込権」を得るのに必要な契約期間を「10年」から「5年」に短縮する方針であることが1月25日分かった。教職員組合などが記者発表し、大学側も認めた。
労働契約法では、同じ職場で5年働いた有期雇用者が希望すれば、次の契約から無期雇用に転換しなければならない(無期転換ルール)。
一方、大学教員については任期法(大学の教員等の任期に関する法律)で、必要な契約期間が10年という特例がある。非常勤講師への適用の可否をめぐり、組合が大学と団体交渉を続けていた。
●組合側「拡大解釈」「ほかの大学も続いて」
同日、厚労省記者クラブで会見した、東京大学教職員組合の佐々木彈さん(前執行委員長)は、「制度が拡大解釈されていた」と指摘する。
「任期法の特例(10年ルール)は、先端的な研究プロジェクトなどに携わる人を対象としたもの。しかし、非常勤講師の多くは、(大学の仕事として)研究をやっていない」
実際、文科省と厚労省が2014年4月に共同で出した文書(大学等及び研究開発法人の研究者、教員等に対する労働契約法の特例について)などでは、特例の適用に条件がつけられている。
ともに団交した、首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子さん(委員長)は、「ほとんどの大学は(非常勤講師も)5年ルールだが、一部で10年ルールの大学もある。ほかの大学も方向転換することに期待している」と述べた。
東大では、2018年に非常勤講師が「業務請負」から「雇用」契約に切り替わった。この際、無期転換の10年ルールが採用されたことから、組合側が5年への変更を求めていた。