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タクシー運転手「実質残業代ゼロ」規則、高裁「有効」…原告側「残業代の概念がなくなる」と批判
指宿昭一弁護士

タクシー運転手「実質残業代ゼロ」規則、高裁「有効」…原告側「残業代の概念がなくなる」と批判

東京の大手タクシー会社・国際自動車の運転手ら13人が、未払い賃金総額およそ1700万円の支払いを求めた訴訟の「第2陣」の判決が1月18日、東京高裁(阿部潤裁判長)であり、控訴した運転手らが敗訴した。上告し、最高裁の判断を仰ぐという。

●歩合給から残業代相当額を差し引く規則を有効と判断

争点は、同社の賃金規則の有効性。運転手側は、歩合給から残業代相当額や交通費が差し引かれており、事実上、残業代がカットされているとして、無効を主張した。

これに対し、裁判所は、歩合給を規定する法令などはほとんどないこと、名目上、支払われていた残業代の金額は、割増賃金を定めた労働基準法37条を満たすことなどを理由に、未払い賃金はないと判断した。

判決後の記者会見で、労働者側の代理人を務めた指宿昭一弁護士は、さまざまな手当から残業代を引くことが可能になるとして、「このような判決がまかり通ってしまったら、日本から残業代がなくなる。残業代ゼロ制度の先取りだ」と憤りを語った。

●第1陣訴訟は、2月15日に差し戻し審判決

国際自動車の賃金規則をめぐっては、ほかの運転手14人が同種の「第1陣」裁判を起こしている。1審・2審は、規則を無効と判断し、運転手側が勝訴。しかし、最高裁第3小法廷が改めて有効性を検討するよう、東京高裁に差し戻している(2月15日に判決)。

今回の第2陣・高裁判決は最高裁の判断を受けてのもの。別の裁判官のもと、差し戻し審でどのような判決が出るか注目される。

なお、指宿弁護士によると、第1陣訴訟の途中で、国際自動車は賃金規則を改め、現在は歩合給から残業代が引かれないようになっているという。

(弁護士ドットコムニュース)

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