営業に出かけたはずの社長がデリヘルに行っていたことが発覚したーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、ある会社の従業員から、そんな投稿が寄せられた。
投稿者の男性は、「社員一同失望して、今後どのような対応を取れば悩んでいます」と降格や更迭の方法について質問している。
こうした「やりたい放題」の社長に処分をくらわせたり、解任したりしたい場合、どうすればいいのか。近藤暁弁護士に聞いた。
●一般の従業員がどうこうできる問題ではない
そもそも社長は従業員と同じように、処分の対象になるのか。
「社長は取締役(代表取締役)であることがほとんどなので、これを前提に話を進めます。会社と従業員との間が雇用関係にあり、労働関係の諸法令によって規律されるのに対し、会社と取締役との関係は委任に関する規定により規律されます(会社法330条)。
したがって、取締役の不祥事については、懲戒処分の問題ではなく、委任の趣旨に反するかどうかという問題になります」
社長を外れて欲しいという場合は、どうすればいいのか。
「誰がどのような手続で解任するのかという点が問題になります。ここにいう『解任』が代表取締役を解職し、普通の取締役に降格するということであれば、取締役会の決議によりこれを行うことができます(会社法362条2項3号)。
さらに取締役の地位そのものを解くということであれば、株主総会の決議によりこれを行うことになります(会社法339条1項)。
いずれにせよ、代表取締役の解職や取締役の解任は、取締役会や株主総会が決めるべきことであって、一般の従業員がどうこうできる問題ではありません。従業員としては、株主や取締役に対して社長を解任するよう事実上の働きかけを行うことになります」