エステティックTBC(TBCグループ)は9月11日、労働組合「エステ・ユニオン」との間で、有期労働者が望めば、いつでも無期労働者に転換できるなどとする労働協約を結んだ。法律上、勤続5年以上の有期労働者に生じる権利だが、勤続年数に関係なく即時対応する。同種の労働協約はエステ業界では初めてだといい、労働者は雇い止めの心配がなくなる。
労働協約は(1)有期労働者が望めば、すぐに無期転換できる、(2)無期転換の際、労働条件の引き下げや嫌がらせを行わない、(3)既存労働者への制度の周知、(4)新規採用者をすべて無期雇用者として採用するーーというもの。
TBCは、労働者の正社員化を進めており、現在1700人の正社員がいる。一方で、家庭の事情などで長時間働けない労働者については、有期雇用のままとなっていた。今回はそうした有期雇用者50人ほどが対象になる。
TBC人事総務部長の長南進亮氏は、「会社としては、技術を持ったエステティシャンを囲い込みたい。退職の多くは子育てが理由。時間は短くても、ブランクを作らないように働いてもらい、子育てがひと段落したら、正社員になってもらいたい」と狙いを語った。
来年4月から、労働契約法の「5年ルール」により、有期労働者の大規模な「無期転換」が始まる。TBCのように前倒しをする企業がある一方で、5年を理由にした雇い止めなどが起きる可能性も指摘されている。エステ・ユニオンは、今回の労働協約が業界のモデルケースになってほしいと話している。