同僚の体臭が酷く、頭痛や吐き気に苦しんでいるーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、あるプログラマーから、こんな相談が寄せられた。
投稿者は、同僚の体臭が原因で頭痛や吐き気に悩まされ、時には有給休暇を取得せざるをえない状況に追い込まれたという。会社に相談しても「ヒアリングおよび注意はした」というだけで、事態は改善されないそうだ。
投稿者は「こんなに自分が我慢しているのに男性の方は毎日元気に出勤している」ことに憤りを感じているそうです。
会社や同僚に対して、マスク代、頭痛薬代、通院費用や迷惑料などの金銭を要求することはできるのか。大久保誠弁護士に聞いた。
●同僚の体臭、どうしたらいいのか?
「体臭は、主に皮膚の雑菌によって汗や皮膚、垢に含まれる成分が分解され、発生したガスが臭うもので、汗をかくと皮膚の上で菌が繁殖しやすくなるとされています。
このような体臭予防には、(1)入浴で清潔にする、(2)汗を抑える・拭き取るなどの外出先での汗対策、(3)生活習慣の改善(不規則でバランスの悪い食生活や運動不足、喫煙や過度な飲酒、ストレスなど乱れた生活習慣が、汗や皮膚の成分を変化させ、ニオイの原因となるため)、などが考えられます。
また、病気が原因で特有の体臭を放つこともあります。あぶらくさいニオイは脂漏性皮膚炎が原因であることが多く、糖尿病になると糖の分解が進まないため甘酸っぱいニオイがするといわれます。このような病気の場合は、医師による治療が必要となります」
今回の相談者によれば、すでに会社を通して、その同僚に対しては注意がなされているようだ。
「同僚が対策をとっているのであれば、同僚にはそれ以上に体臭を予防する手段はないことになります。それにもかかわらず同僚に損害賠償を認めるとなると、同僚に対しておよそ不可能な行為を要求することになってしまうことになります。
また、この相談者以外で、このような体調不良となる従業員はいるのでしょうか。いないのであれば、同僚の体臭というのは受忍限度内のものと思われます。むしろ相談者の心因的なものが体調に影響を与えているのではないでしょうか。
このように考えると、会社にも、同僚にも損害賠償を請求することは困難と言わざるを得ません」