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2016年04月16日 09時42分

「労働基準監督署」が悪質な経営者を「逮捕」…捜査権限は警察だけでなく監督官にも

「労働基準監督署」が悪質な経営者を「逮捕」…捜査権限は警察だけでなく監督官にも
写真はイメージです

岐阜労働基準監督署は3月22日、外国人技能実習生に違法な長時間労働をさせたなどとして、最低賃金法と労働基準法に違反した疑いで、岐阜県内の婦人・子供服製造会社社長と、技能実習生受け入れ事務コンサルタントを逮捕した。 

報道によれば、2014年12月〜15年8月、中国人技能実習生4人を岐阜県の最低賃金に満たない額で、1日8時間の法定労働時間をこえて働かせた。割増賃金も支給せず、不払い賃金は計475万円にのぼるとみられる。2人は、労基署の立ち入り調査に応じなかったり、虚偽の説明を繰り返したことなどから「悪質性が高い」と判断され、逮捕にいたったようだ。

労働基準監督署の「逮捕」は異例とされるが、逮捕に至ったのは、どのような理由があったのだろうか。また、労働基準監督署が「逮捕」できることに驚いた人もいるかもしれない。労働基準監督署にはどのような権限があるのだろうか。野澤裕昭弁護士にきいた。

●司法警察官と同じ「捜査権限」が与えられる

「労働基準監督署が逮捕する権限があることを、今回の報道で初めて知った人もいるかもしれません。そこで、労働基準監督官(『監督官』)が、経営者らを逮捕した根拠について解説します。

労働基準法には多数の罰則規定(刑罰)があります(117~120条)。この罰則を適用するために、監督官には司法警察官と同じ捜査権限が与えられ(労基法102条)、この捜査権限には逮捕、捜索差し押さえなどが含まれます。

このように、労基法の罰則に該当する行為を発見した場合には、監督官は裁判所に令状を請求して逮捕、捜索ができる権限が本来あるのです」

労基署の捜査権限は意外に広い。

「今回の件で言えば、最低賃金法違反には50万円以下の罰金(40条)、残業代の不払いは6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(119条1号)の罪に該当します。こうした罰則違反に基づいて逮捕したわけです。

労働者の権利を保護するために、労基法や最賃法は刑罰をもって使用者の違反行為を規制しています。そして、罰則規制を効果あらしめるために監督官に司法警察官と同じ捜査権限を与えているわけです」

しかし、労基署が逮捕することは珍しいことではないのだろうか。

「逮捕は事実上、例外的な場合に限定されてきました。今回、逮捕するに至ったのは、経営者らの行為が、悪質性が高いと判断したためだと思われます。

経営者らは、『最低賃金法違反』や『残業代の不払い』という法違反をしています。さらに、従来から問題視されている『技能実習制度の悪用』や、労基署の立ち入り調査をも拒否したことなども重なり、逮捕に踏み切ったと考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

野澤 裕昭弁護士
1954年、北海道生まれ。1987年に弁護士登録。東京を拠点に活動。取扱い案件は、民事事件一般、労働事件、相続・離婚等家事事件、刑事事件など。迅速かつ正確、ていねいをモットーとしている。趣味は映画、美術鑑賞、ゴルフなど。
事務所名:旬報法律事務所
事務所URL:http://junpo.org/labor

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