亡き娘に「ここまできたよ、と言いたい」遺族が涙、ワタミ過労自殺訴訟の和解成立
和解成立後、会見にのぞんだ父親の豪さんと母親の祐子さん

亡き娘に「ここまできたよ、と言いたい」遺族が涙、ワタミ過労自殺訴訟の和解成立

居酒屋「和民」を運営するワタミ子会社で働いていた森美菜さんが過労自殺し、遺族が会社側と当時ワタミの代表取締役だった渡辺美樹参院議員らに損害賠償を求めて東京地裁に起こした訴訟は12月8日、ワタミ側が1億3365万円を支払い、謝罪することで和解が成立した。同日、東京・霞ヶ関の厚生労働省で会見を開いた父親の豪さん(67)は「(美菜さんに)ここまできたよ、と言いたい」と涙ながらに語った。

●「今でも時間は8年前で止まったまま」

亡くなった美菜さんは2008年4月、正社員として同社に入社。連日、深夜・未明にまで及ぶ長時間労働を強いられ、休日も、研修や渡辺氏の著書のレポート作成などに追われた。そして入社から2ヶ月後、マンションから飛び降りた(享年26歳)。

この裁判では、美菜さんの両親が、自殺の原因は会社側が安全配慮義務を怠ったためだとして、約1億5300万円の損害賠償を求めていた。一方、ワタミ側は、安全配慮義務違反はなかったとして請求棄却を求めていた。

和解内容は、美菜さんの死亡の原因が同社の業務にあることを認め、1億3365万円の損害賠償を支払うというものだ。さらに、同社と渡辺氏のホームページに1年間、和解条項の内容を掲載することや、一部の社員に未払いの賃金を支払うことなども盛り込まれた。また、原告側によると、裁判所には渡辺氏と現社長の清水邦晃氏が出廷し、遺族に対して謝罪したという。

豪さんは和解の内容について、「お金だけではなく、再発防止条項など、色んな条件を加えて、労働環境をよくする方向の結果が出たことは非常に良かったと思っている。本当に反省しているのであれば、この和解条項の約束を守ってほしい。良い会社になっていただきたい」と述べた。

母親の祐子さん(61)は、「今でも時間は8年前で止まったまま。ワタミに入社することを許してしまったこと、生きているうちに助けられなかった後悔は、死ぬまで続く」と述べた。また、渡辺氏が「1日も早く美菜さんの墓参りをしたい」と発言したことを明らかにし、「今現在は、絶対に来てほしくない」と話した。

原告側代理人の玉木一成弁護士は、「損害賠償額は、死亡事案としては過去最高に近い水準。慰謝料も、通常の倍額を認めさせることができた」と述べた。さらに、過重労働の再発防止策として、「1か月の労働時間について、36協定の上限時間を超えて労働することを防止する」などの条項を同社に認めさせたことについて、「判決で得られる以上の成果を勝ち得ることができた」と話した。

ワタミ株式会社の清水邦晃代表取締役はホームページで、「労務訴訟に関する和解成立のお知らせ」とするプレスリリースを発表。「現在、当社におきましては、労働環境の改善に鋭意取り組んでおり、同様の事案の再発防止に努めております。尚、和解内容につきましては、後日、当社ホームページ上にて公表の予定ですので、そちらをご覧いただけますと幸いです」とのコメントを発表した。

(弁護士ドットコムニュース)

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