2015年09月13日 09時20分

ニコニコ超会議でエンジニアに「焼きそば」を作らせることは「付随的業務」といえる?

ニコニコ超会議でエンジニアに「焼きそば」を作らせることは「付随的業務」といえる?
ニコニコ超会議2015の様子

「ドワンゴは大量退職に関する印象操作をやめろ」と題したブログ記事が話題になった。ニコニコ動画の運営会社として知られる「ドワンゴ」の元社員が、同社でかつてエンジニアの退職があいついだ理由について、給与面や開発体制など5つのポイントを挙げたものだが、5つ目は「ニコニコ超会議で焼きそばを作らされる」というユニークなものだった。

ブログの記事によると、ドワンゴが2012年から千葉の幕張メッセで開催しているイベント「ニコニコ超会議」に、エンジニアも含めた社員が強制的に動員され、来場者の列の整理や焼きそば屋台などに従事させられると、聞かされたのだそうだ。ブログの投稿者は、この話を聞いてすぐに退職したという。

「正直に言ってソフトウェアエンジニアとして雇用した人間に焼きそばを焼かせるのは雇用契約違反なのではないかと思います」「焼きそばを焼かなければならない必然性がわからず、受け入れることができませんでした」と憤っている。

今回の件は事実関係が不明な点もあるが、一般的に、エンジニアとして雇用している従業員をお祭り的なイベントに強制的に参加させ、焼きそば作りや列の整理などをさせることは、法的に問題ないのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

●労働契約にない付随的業務の扱いとは・・・

「使用者(会社側)が業務命令を下すことのできる法的根拠は、労働契約に求められます。原則として、労働者が、働くにあたってどのような義務を負うのかは、それぞれの労働契約の内容によって決まります。そして、労働契約に記載された業務内容のことを本来的業務といいます。

ただ、使用者が労働契約に定められた本来的業務しか命じられないとすると、円滑な企業活動を阻害する弊害が生じるなど、労使双方にとって得策ではありません。一方で、予想可能な範囲を超えた労働義務を課せられる不利益から、労働者を保護する必要もあります。

そこで、その業務を行わせる必要性があり、それが合理的な範囲内のものであれば、労働契約にない業務も付随的業務として許されることになります」

では、認められるポイントはどのようなものだろうか。

「業務命令が合理的な範囲内か否かについては、作業量、作業時間、作業人員、作業方法および本来の業務との比較等から、それが社会通念上相当なものかどうかという観点から検討されます」

今回のエンジニアに焼きそばを作らせるというのはどうだろうか。ブログによると、ドワンゴは、「お客様の文化に触れる、本気で楽しんでくださっているお客様の姿をじかに見られる他にない機会である」と言っているそうだが・・・。

「今回の件については、契約内容やその他の事実関係において不明な点が多いのですが、ニコニコ超会議でエンジニアの方が焼きそばを焼いたりする必要性が認められ、かつ、ニコニコ超会議での作業量や作業時間等が社会通念上相当な程度といえるのであれば、適法な業務命令であるということになります。

結局のところ、会社が主張しているような目的で焼きそばを焼くことに、どの程度の必要性があるのかといったことや、超会議の当日が休日勤務になるのであれば、その労働時間がどう扱われるのか、作業量は妥当なのかといったことなどで、判断することになるでしょう」

河野弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

河野 祥多弁護士
2007年に茅場町にて事務所を設立以来、個人の方の相談を受けると同時に、従業員100人以下の中小企業法務に力を入れている。最近は、ビザに関する相談も多い。土日相談、深夜相談も可能で、敷居の低い法律事務所をめざしている。

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