国会で、労働者派遣法改正案の審議が大詰めをむかえるなか、改正案に反対する弁護士グループが9月4日、東京・永田町の参議院議員会館で集会を開いた。弁護士や国会議員、労働組合関係者ら約70人が参加した。グループの中心メンバーの今村幸次郎弁護士は「派遣労働者を増やし、労働者の賃金を切り下げて、企業をもうけさせるものだ」と述べ、廃案すべきだと訴えた。
●「派遣切りを自由にさせるものだ」という懸念
現行法では、ソフトウェア開発や通訳など「専門26業種」をのぞき「同じ仕事」で派遣労働者を受け入れられる期間は最長3年とされている。一方、改正案は、「同じ仕事」でも3年ごとに人を入れ代えれば、新たな派遣労働者を受け入れ続けることができるようになる。
安倍首相は9月3日の参議院厚生労働委員会で「今回の改正案は、正社員を希望する方にはその道を開き、派遣を選択する方には待遇の改善をはかるためのものだ」と述べ、その必要性を強調した。一方、反対側からは「派遣切りを自由にさせるものだ」という懸念があがっている。また、違法な派遣の場合、派遣先がその労働者の直接雇用を申し込んだとみなす「みなし制度」が今年10月1日から施行される予定だが、その制度が「空文化」するおそれも指摘されている。
この日の集会で、今村弁護士は「政府・与党は数の力で押し通そうとしているが、絶対に許すことはできない。(法案は)派遣労働者を増やして、労働者の賃金を切り下げて、企業をもうけさせるものだ」と訴えた。
改正案は今年6月に衆議院を通過し、参議院に送られたが、安保関連法案などの影響で審議が大幅に遅れている。与党は9月8日にも厚生労働委員会で採決するのではないかと報じられており、安保法案と同様に緊迫した状況になっている。