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別人すぎる新婦の「スッピン」夫がショック受けて提訴! 慰謝料請求は認められるか?
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別人すぎる新婦の「スッピン」夫がショック受けて提訴! 慰謝料請求は認められるか?

妻の「スッピン」を見た夫が慰謝料を求める――。そんな驚きの裁判をアルジェリアの男性が起こしたと海外のニュースサイトが報じ、話題となった。

イギリスのニュースサイト「Mirror.co.uk」によると、事件が起こったのは結婚式翌日の朝。男性は、そのとき初めて妻の「スッピン」を見たそうだ。化粧をしているときの顔とのあまりの違いに、隣で眠っているのが妻と分からず、「盗むために家に忍び込んだ泥棒だと思った」そうだ。

新郎は「精神的なダメージを受けた」として、妻に対して1万3000ポンド(約250万円)の損害賠償を求めているという。もし日本で同様の裁判が起こった場合、男性の請求が認められる可能性はあるのだろうか。また、スッピンの顔があまりにも違うという理由で、離婚することは認められるのか。男女の法律問題に詳しい田村ゆかり弁護士に聞いた。

●女性がメイクで美しくなることは、社会の共通認識

「いわゆる慰謝料請求について定めているのは、民法709・710条です。

故意または過失によって他人に精神的苦痛を与えた者は、これによって生じた損害を賠償しなければならない、という内容です」

では、妻のスッピンにショックを受けて、夫が精神的苦痛を受けたような場合も、慰謝料請求が認められるということだろうか。

「精神的苦痛を被ったからといって、なんでもかんでも慰謝料が支払われるわけではありません。

たとえば、『告白したら振られて傷ついたから慰謝料払え!』と請求したら慰謝料が支払われるかというと、もちろんそんなことはないですよね?

慰謝料請求が認められるのは、『違法』な行為に限られます」

今回のケースでは、違法といえるのだろうか。

「メイクをした顔とスッピンが違い過ぎることが『違法』といえるかというと、結論としては難しいでしょう。

違法な行為とは、たとえば刑罰法規に反する行為や、法に直接違反する行為でなくても、社会的にみて許容されない行為をいいます。

女性がメイクをすること、メイクによってスッピンよりも美しくなることは、社会の共通認識です。スッピンとメイクした顔が違いすぎたからといって、違法とまでは言えないでしょう」

慰謝料を求めることは難しいようだ。

●離婚することも難しい

では、男性が離婚したいといったら、認められるだろうか。

「離婚事由については、民法770条が定めていて、今回は、そのうちの『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』に当たるかが問題となります(770条1項5号)。

やはり、今回のような事情だけでは難しいでしょう。

別居を3~5年継続した上であれば、婚姻関係が実質的に破たんしていることも加味され、認められるかもしれませんが・・・」

田村弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

田村 ゆかり
田村 ゆかり(たむら ゆかり)弁護士 でいご法律事務所
経営革新等支援機関。沖縄弁護士会破産・民事再生等に関する特別委員会委員。

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