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真夏の就活生「スーツ暑くて死ぬ」 企業は「熱中症対策」でクールビズを推奨すべき?
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真夏の就活生「スーツ暑くて死ぬ」 企業は「熱中症対策」でクールビズを推奨すべき?

「スーツ暑すぎて燃えそう」「この暑さの中スーツとか自殺行為だよ」気温30度超えの夏日が続くなか、ツイッターは、スーツを着て就職活動をする学生たちの阿鼻叫喚であふれている。

今年は経団連の指針変更により、8月1日が正式な選考開始時期となったため、就活生にとって、夏が正念場だ。しかし、炎天下にスーツで歩き回るのはまさに「地獄」「拷問」で、「半袖短パンで(選考に)お越し下さいとか言ってほしい」という切実な声もあった。

なかには、熱中症になってしまう学生もいるかもしれない。企業は熱中症対策として、「面接には半袖で来てください」とクールビズを呼びかけるなど、就活生の安全に配慮する義務はないのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

●企業が就活生の「熱中症」に配慮する義務は?

「労働契約法5条は、『使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする』として、企業が負うべき安全配慮義務について規定しています」

就活生の安全に配慮する義務はないのだろうか?

「この安全配慮義務は、あくまで労働契約が伴っている労働者に対するもので、いまだ労働契約を結んでいない就活生は対象とならないのが原則です。

そのため、企業側が、就活中の学生に対して『半袖で来てください』『健康に配慮して涼しい格好で来てください』などと積極的に告知する法的な義務があるとまではいえません。また、熱中症対策として、交通費や飲料代の支払いを行うことも、企業の義務ではありません」

とはいえ、これからますます暑さが厳しくなるなか、少しくらい就活生に配慮してくれてもいいのではないか。

「たしかに、就活中の学生は、将来その企業にとって、労働者となりうる存在であると同時に、お客さんにもなりうる人たちです。

そこで、企業イメージの向上などを一つの目的として、就活生に対して、熱中症にならない服装で来社するように積極的に告知したり、熱中症対策として交通費や飲料代を支給したりすること自体は、企業戦略としては、望ましいと言える場合も多いでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

河野 祥多
河野 祥多(こうの しょうた)弁護士 むくの木法律事務所
2007年に茅場町にて事務所を設立以来、個人の方の相談を受けると同時に、従業員100人以下の中小企業法務に力を入れている。最近は、ビザに関する相談も多い。土日相談、深夜相談も可能で、敷居の低い法律事務所をめざしている。

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