歓迎会の2次会で早速セクハラ被害に遭ったーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
終電間近の時間となって泥酔して帰れなくなった同僚が抱きついてきて、何度も胸を触ったり、手にキスをしてきたりしたといいます。
まだ試用期間のため、最悪クビになってしまうのではと考えて、会社への相談をためらっているそうです。どう対応すればいいのか森田梨沙弁護士に聞きました。
●労働者の権利は当然にある
ーー試用期間だからといって、セクハラを訴えて不利益を被ることはありますか?
男女雇用機会均等法第11条第2項には、労働者がセクハラについて会社に相談したことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならない、と定められています。試用期間であっても、労働者であることには変わりありませんので、結論は同様です。
ーー態様としては強制わいせつにも当たり得ると思われますが、警察に相談するのは早計でしょうか?
無理やり胸を触る、手にキスをする、といった行為は、刑法上の強制わいせつ罪に該当します(刑法第176条)。
もし加害者に対して刑事上の処罰を望むのであれば、早めに警察に行った方が、証拠の保全等の点で有利であり、立件の可能性も高まると言えます。
もちろん、会社は、被害者が刑事告訴等をしたことを理由として、被害者に対して不利益な取り扱いをすることは、許されません。
●歓迎会は「職務との関連性アリ」
ーー参加者が減った2次会という場なので、業務時間外とされる可能性はありますか?
労働者が通常就業している場所以外のところ、例えば勤務時間外の「宴会」「懇親の場」などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは、セクハラについて定めた男女雇用機会均等法第11条第1項にいう「職場」に該当します。
その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
ご相談のケースでも、それらの要素を参考に「職場」と言えるかどうかを判断していくことになります。歓迎会の場となると、一般的には職務との関連性は高いと考えられますので、2次会で多少参加者が減った程度では、職務関連性が否定されることはないように思います。