ウーバーイーツの配達員らでつくる「ウーバーイーツユニオン」は10月1日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで記者会見を開き、ウーバーイーツが特別永住者の配達員のアカウントを一方的に停止しているとして、抗議声明を発表した。今後、団体交渉を申し入れる。
●6月に続き、9月にもアカウント停止が発生した
ウーバーイーツをめぐっては、外国人配達員の不法就労問題とその対応が問題になっていた。報道によると、警視庁が今年6月、ウーバージャパンと当時の日本代表ら2人を入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検している。
不法就労問題がどこまで影響しているかは不明だが、ユニオンによると、6月に在日コリアンで特別永住者である組合員のアカウントが一方的に停止され、復旧の対応に問題があったとして、ウーバー側に抗議するとともに、団体交渉を求めたが、拒否されていた。
今回の抗議声明では、9月1日にも特別永住者のアカウントが説明なく停止されたとしている。アカウントを再開するためには、最寄りのコンプライアンスセンターに特別永住者証明書を持参することを求められている。しかし、コンプライアンスセンターは東京や大阪といった大都市にしかなく、岡山市在住の配達員が、アカウント再開を断念した事例が報告された。
●ユニオン「特別永住者には就労制限がなく、証明書の提示義務もない」
ユニオンは、そもそも特別永住者には就労制限がなく、日本国籍保持者と同等に就労が可能であり、ウーバー側が求めている特別永住者証明書を提示する義務はないとして、アカウントの一方的な停止をやめることや、アカウント停止期間中の休業補償、書類確認プロセスの詳細説明、特別永住者証明書の提示や現物確認をやめることを求めている。
ユニオンの土屋俊明執行委員長は「待遇の是正ではなく、民族差別行為に対する是正を求めるものだ」と、ウーバー側の対応を批判している。
アカウントを停止された在日コリアンの30代男性(静岡県在住)は会見で、ウーバー側とのやりとりや、コンプライアンスセンターまで行って現物確認することの大変さを語り、「私は自分自身の血筋を大切にしてきた。その思いを踏みにじられてしまったのが残念だ」と思いを語った。