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ベンチャー企業、「鬼滅コスプレ総会」を社員数百人で コロナにおびえる女性の告白「しかも衣装は自腹ってありえん」
会社の総会にうんざりしている相談者

ベンチャー企業、「鬼滅コスプレ総会」を社員数百人で コロナにおびえる女性の告白「しかも衣装は自腹ってありえん」

弁護士ドットコムニュースが、職場の悩みをLINEで募集したところ、「年末の社員総会に、コスプレでの参加が命じられている」と話す女性がいました。

衣装の購入は自腹で、経費申請は認められないそうです。また、新型コロナウイルス感染が不安視されるなか、大人数の総会でクラスターが発生した場合、会社の責任を問えるのでしょうか。

●コスプレ総会「社畜の涙」

相談者は20代女性の木村智子さん(仮名)。都内のベンチャー企業で働いています。こんなメッセージを編集部に送ってくれました。

「会社の社員総会で毎年、コスプレを社員全員(数百人)に強要されます(全社に社内通達があります)。衣装まで揃える必要があるのですが、経費では落ちず実費です」

過去の総会では「職業にまつわるコスプレ」「自由な仮装」などの指定があり、12月下旬の土日に開催される2020年総会のテーマは「鬼滅の刃」と定められたそうです。

「安く済ませたかったので、1000円くらい」で、人気女性キャラのコスプレグッズを買ったといいます。

コロナ禍でも、「オンライン総会」ではなく、例年通りに会場を貸し切ったとのことです。

「正社員は全員出社です。恐らく休日扱いになるのかと」

木村さんが勤める企業では、一部社員にしか在宅勤務が認められず、社内の3密対策も徹底されていないそうです。

そのため、数百人規模の集会に、不安を感じています。

●月イチの面談で「総会出席」を念押しされる

身銭を切り、プライベートを削り、コロナへの不安もあり…。それでも出席するのは、社内で「圧」がかけられることもあるようです。

月に一度の「1on1面談」で、上長から出席をうながされると話します。

「月一の面談でめっちゃ出るように諭されます。欠席した人へのペナルティがあるかは分かりませんが、出席しない人は社員じゃないくらいの扱いにはなります。出ないのはアルバイトくらいなので、アルバイトかなー?っていじられることもあります」

木村さんに確認したところ、12月24日現在では中止のアナウンスはないという。

総会への出席は仕方のないことなのでしょうか。労働問題に詳しい森田梨沙弁護士に聞きました。

●出なきゃいけないの?

ーー休日開催の総会は業務とみなされるのでしょうか。出席を断ることはできるのでしょうか

総会への出席が業務とみなされるかどうかは、出席が強制であったか否かというのがポイントです。会社からの業務命令により出席が強制されているのであれば、それは業務ということになります。

もちろんその場合、会社は賃金を支払う必要がありますし、休日や時間外の開催であれば、前提として適法に残業を命じることが出来る条件が揃っていること(36協定の締結や労働契約上の根拠)が必要です。

ご相談のケースでは、詳しいことは分かりませんが、「休日扱いになる」「出るように諭される」というお話しからすると、業務ではなく、あくまで参加は任意であると考えられます。

ーーこの場合、コスプレの購入費は申請できないのでしょうか

コスプレの購入費についても、あくまで総会が任意のものであり、コスプレの着用も事実上の要請である以上、費用を会社に請求することは難しいということになるでしょう。

なお、総会への出席やコスプレ着用の要請が執拗で、社会通念上看過し得ないような程度になっていたり、欠席することで仕事上嫌がらせをされるようなことがあれば、パワーハラスメント該当性が問題になってくると思われます。

●コスプレ総会でクラスターが発生したら、会社に責任とってもらえる?

ーー総会でクラスターが発生し、新型コロナに感染した場合、会社に責任は求められますか? また、労災申請は認められるのでしょうか

社員総会が任意参加であったとしても、事実上の強制力が強く、社員のほぼ全員が出席しているといった事情があれば、会社に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。請求の内容としては、治療費や慰謝料といったものになるでしょう。

労災申請は、任意参加の懇親会では認められないケースが多いですが、事実上の強制の度合いや総会の内容によっては「業務上」の災害であると認められることもあります。仮に総会でクラスターが発生してその結果、自身も新型コロナに感染したというのであれば、業務起因性があるとして、労災申請が認められることも考えられます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

森田 梨沙
森田 梨沙(もりた りさ)弁護士 共進総合法律事務所
中小企業法務、労働案件、一般民事(交通事故、不動産、離婚事件他)など幅広く手掛ける。事案の早期解決及び予防法務の観点から、依頼者と密なコミュニケーションをとることを常に心がけている。趣味はキックボクシング。

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