生理休暇を申請したら、「生理痛くらいで休まれたら困る」「かならず出社して」と言われたーー。こう語るのは、IT企業で働くアオイさん(30代女性・神奈川県在住)です。
かねてより生理痛に悩まされていたアオイさんは、病院で処方された薬などを飲むなどして会社に足を運んでいました。生理休暇があることは知っていましたが、社員は過半数が男性のため、まわりに取得方法などについて相談することもできなかったといいます。
ところが、ある日、アオイさんはひどい生理痛で起き上がることすらできなくなりました。薬も効かなかったため、会社に「生理休暇を申請したい」と連絡を入れると、上司に「いやいや、這ってでも来てよ」と言われたそうです。
アオイさんはなんとか出社したものの、会社で貧血を起こし、医務室に運ばれました。ところが、上司からは「体調管理ぐらいしろよな」と言われてしまったそうです。
つらい体験はアオイさんに限りません。弁護士ドットコムニュースのLINEにも「這ってでも出社して」と言われた人もいました。また、ネット上にも「どんなに辛くても生理休暇なんて取れない」「倒れるほど酷くないでしょと相手にされず、もらえたことない」「薬でなんとかしろと言われた」など、悩む女性たちの声がみられます。
生理休暇の取得を拒否する会社側に問題はないのでしょうか。谷口真理弁護士の解説をお届けします。
●「生理休暇」の取得は法律で認められている
ーーアオイさんは生理休暇を申請しても認められず、会社に「這ってでも来て」と言われています。会社側のこのような対応は認められるのでしょうか。
いいえ、法律上は認められません。
生理痛により仕事をするのが難しい場合「生理休暇」を取得することが、法律で認められています。労働基準法68条は「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定めています。
生理休暇を取得できるのは、女性労働者です。つまり正社員にかぎらず、契約社員、パート、アルバイトでも取得は可能です。また、取得日数にも制限はありません。
●診断書等を提出する法律上の義務はない
ーー会社によっては、診断書の提出が必要なケースもあります。生理休暇の取得にあたり、診断書は不可欠なのでしょうか。
たしかに、会社によっては診断書の提出が必要なケースも想定されます。
しかし、生理休暇取得にあたって、診断書等を提出する法律上の義務はありません。原則としては、生理休暇を取得したいときは、そのことを会社に申請さえすればいいわけです。
ーー生理休暇を取得した場合、有給となるのでしょうか。
残念ながら、法律上、生理休暇が有給であることまでは保障されていません。これを有給とするか無給とするかは、会社の自由です。
そのため、会社が有給の生理休暇制度を設けていない場合は、急病等の場合と同様に、事後申請により有給扱いを受け、仕事を休む人も少なくありません。
なお、有給として取り扱いを受けるためのルールとして、一定の場合には就業規則で診断書の提出を義務付けて周知させているようなケースもないわけではありません。この場合にはそれに従う必要があるでしょう。
(弁護士ドットコムライフ)