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2020年12月22日 10時08分

誰でも「YouTuber」になれる時代、クリエイターが知っておくべき法律ってなに?

誰でも「YouTuber」になれる時代、クリエイターが知っておくべき法律ってなに?
高木啓成弁護士(弁護士ドットコム撮影)

コロナ禍だからということもあるかもしれないが、YouTubeだけにかぎらず、自分で音楽や動画などをつくってインターネットに投稿する「クリエイター」が増えてきている。

そんなクリエイターであっても避けて通れないのが、小難しい法律や契約書などの問題だ。その傾向が強まる中、クリエイターが実際に直面する法的な問題とその解決法について、わかりやすい文とイラストにまとめた本がこのほど出版された。

タイトルは「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」(日本加除出版社)。著者の高木啓成弁護士は、タイトル通り作曲家でもあり、「HKT48」に楽曲提供したこともある。

法律家として、音楽や映像に関連する相談をされる中で、法律知識のないクリエイターにおすすめできる本がなかったという。そんな問題意識から、「じゃあ、自分なら書けるのではないか」と考えて、執筆をはじめた。

高木弁護士は、クリエイターが自分でネット配信する時代において「セルフマネジメントがもっと必要になる」と説く。"1億総クリエイター時代"とも言われる中、どんなことに注意すればいいのだろうか。高木弁護士に聞いた。

●自分でイラストを描いて「手に取りやすい本」を目指した

――まず、執筆にあたって、どういうところに力を入れたのか?

版元の日本加除出版は、法律の専門書を出版している会社です。法律書はどうしても、文だけでなく、レイアウトやデザイン、文字フォントも硬い印象になってしまい、法律に馴染みのないクリエイターにとっては、とっつきやすいものでありません。

だから、できるだけわかりやすくすることを心がけました。文字だけだと読むのが大変なので、イメージをもちやすくするために、いろいろな図を入れたり、自分でイラストをたくさん描きました。また、手作り感のあるデザインにして、クリエイターが手にとりたくなるような本を目指しました。

イラストと文章 同書P72より

――この本は"クリエイター向け"なのか?

実は、クリエイターだけでなく、弁護士に向けても書いています。

文献・判例を引用したり、テーマによっては法律的に踏み込んで言及したり、クリエイターにとっては常識なようなことでも、法律家がわからないところは補足的に説明を加えたりしました。「これから音楽や動画に関する法務も取り扱ってみたい」という先生方が読んだとしても読み応えがあるように工夫しています。

●クリエイター向けの勉強会が題材に

――クリエイターはどういうところにつまずく?

最近は新型コロナの影響で控えていますが、うちの事務所でクリエイター向けの勉強会を開催したりしています。いい質問が飛び交い、その中で気づかされたことが題材になっています。

たとえば、音楽のクリエイターで、楽曲のアレンジをやってる人がいます。演奏情報を入力してパソコン上でトラックを制作する「打ち込み」も、楽器の演奏と同様に、著作権法的には"実演"にあたるので、実演家の権利が発生します。しかし、「自分は楽器を演奏していないので、実演家ではない」と誤解して、実演家としての報酬をもらっていない人は結構います。

また、作詞家や作曲家(作家)が音楽出版社に著作権譲渡をする際の「著作権契約書」は、実務的には作家の代わりに作家事務所が当事者として署名押印することもできます。でも、僕は、「できれば作家事務所まかせにせず、自分で署名押印しましょう」と伝えています。ときどき、零細の作家事務所が作家に支払うべき印税を支払わないという相談を受けることがあり、きちんと作家自身が「著作権契約書」の当事者になっていれば、このような場合に対処しやすいためです。

――YouTuber関連の相談はあるか?

YouTuber個人ではなくYouTuber事務所からの相談がほとんどですが、飲食店の許可を得ずにそこで実況中継するなど、明らかにおかしいことをしてトラブルになったというものが多いです(笑)。そこまでじゃなくても、たとえば、替え歌を投稿した場合は「著作者人格権」の問題が生じるのですが、著作者からクレームが入った場合どうすべきかという相談だったりです。

また、しっかりと確認せずに無料サイトから拾ってきた音楽をBGMにして、YouTubeに投稿したら、「コンテンツID」にひっかかることがあります。そうすると、おすすめ動画や関連動画に出てきづらくなって、再生数も下がります。だから、BGMの音源は、信頼できる事業者から買ったほうがいいですよというアドバイスをしています。

画像タイトル

●時代にそぐわない法律も

――ネット時代のルールに課題はあるか?

たしかに、動画・配信をどんどんあげていく時代にちょっとそぐわないんじゃないかというところが著作権法にあります。たとえば、有名YouTuberと同じ企画することはいいのか。これは法的にはOKでしょう。じゃあ、そのYouTuberの動画をキャプチャして自分の動画に使うことはいいのか。その動画の内容やキャプチャの仕方によっては著作権法上の「引用」として認められると思いますが、ではどこまでが引用にあたるのか。

また、音楽の分野では、「著作権」はJASRACやNexToneで集中管理されていますが、音源に発生する「原盤権」(著作者隣接権の一つ)は放送等の一定の分野でしか集中管理されていないという問題があります。YouTubeはJASRAC・NexToneと包括契約をしているので、ある楽曲をカバーして演奏するのであれば、YouTubeに自由にアップロードできますが、BGMとしてCDを流す場合は、レコード会社に許諾をしてもらわないといけません。DJイベントをネット配信することの妨げにもなっていて、円滑な利用ができていないといえます。

――円滑な利用ができるようにすればよい?

どうやって要件を明確化したり緩和したりするかは、むずかしいところです。たとえば、本の見開き2ページが何かに掲載されても、基本的に著作者の利益を侵害していないことが多いんじゃないかと思います。一方で、イラストの場合、一つまるごと掲載されたら、イラストレーターの利益を害する場合も多いはずです。このネット時代に、表現の自由とのバランスで、どこまでが著作者の利益を害さない範囲といえるかがカギになってきますが、個別の著作物の性質によっても変わってくるでしょうね。

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