ユニオン加入をきっかけにパワハラ行為を受けたのは、労働組合法で禁止されている「不当労働行為」に当たるとして、長井町漁業協同組合(神奈川県横須賀市)に勤務する40代男性と労働組合「ユニオンヨコスカ」が2月26日、神奈川県労働委員会に救済を申し立てた。
申し立て後、男性は東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開き、「パワハラに屈して辞めた人もたくさんいる。この先どんな展開になるかも分からないが、皆さんにこの実態を知ってもらいたい」と話した。
●隔離部屋にはカメラが設置されていた
ユニオンによると、男性は1991年に長井町漁業協同組合に入社し、事務職をしていた。2019年8月、取引先に迷惑をかけたとして退職勧奨を受け、自宅待機を命じられた。心当たりのなかった男性は、ユニオンに加入。団体交渉をしたが、漁協側が男性に始末書の提出を求めたため、交渉はまとまらなかった。
ユニオンは19年10月、神奈川県労働委員会にあっせんを申し立てた。労働委員会は漁協に対し、男性の職場復帰の検討とパワハラ行為の禁止を警告。しかし、漁協側がふたたび男性に始末書の提出を求めたため、2020年1月に不調に終わった。
男性によると、2019年9月に自宅待機が解除されたあと、他の職員がいない部屋に隔離され、駐車場の草刈りや魚の収納箱の修理を命じられたりしたという。隔離部屋にはカメラが設置されていたそうだ。
代理人の笠置裕亮弁護士は「男性が団体交渉を申し立てたところ、嫌がらせが始まり、精神的に追い詰めて辞めさせるという意図がありありと感じられる」と指摘。
「ユニオンヨコスカ」の小嶋武志執行委員長は「ユニオンに入って抵抗しているのは彼だけで、執拗に嫌がらせを受けて辞める職員もいた」と話した。
長井町漁業協同組合の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に、「まだ連絡を受けておらず、コメントできない」と話した。