雑談のない職場は「辞めたくなる」ほど悲惨なのか 働き方改革で位置付け方が課題に
写真はイメージ(IYO / PIXTA)

雑談のない職場は「辞めたくなる」ほど悲惨なのか 働き方改革で位置付け方が課題に

職場における雑談によるコミュニケーションの重要性を指摘した日経XTECHの記事「若手が次々と辞めていく、『雑談』の無いIT職場は問題だらけだ」(沢渡あまね氏)がネットで話題になった。

記事では、雑談がない職場では、目先の効率性はアップするが、なくなってしまうと、新しい仕事が入ったり、トラブルが生じたりした場合、誰に相談したらいいのかもわからなくなり、長期的に見た信頼関係や結束力、課題解決力、パフォーマンスの向上を考えると、雑談があった方がいいことを主張している。

この記事に対して、はてなブックマークなどでは、「深刻になってからしか報告・相談や情報共有しないんじゃ、後手後手になるもんね」と肯定する声の一方、「同僚同士の楽しい雑談が主目的になってるといろいろ崩壊する」と否定的な声も出ている。

働き方改革で、労働時間の削減が進む中で今後、職場における「一見無駄なやりとり」の存在価値が問われそうだが、雑談については、法的にどうみなされるのか。どう位置付けるのがいいのか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●企業に対して、自分の全人格を売り渡しているわけではない

「現在の日本では、これまでに例がないほど、労働時間の短縮、有給休暇の取得促進も含めて、休日確保への潮流が生まれています。しかも、戦後のように単に法令だけを整備すればいい、というレベルではなく、あくまで、実効性と法執行力のある制度を浸透させようとしています。

そのような中で、企業としては限られた労働時間の中で生産性をあげようと、職場における雑談を禁止するようなルールが生まれる可能性もあるでしょう」

そのようなルールに問題はないのか。

「いくら職場における労働時間中であったとしても、そこで働くのは生身の人であり、AIロボットではありません。陽気な気分なら、会話の中には、冗談や業務とは関係しない話題も混じるでしょう。

また、休日の翌日なのに疲れてそうな表情をみせていれば、同僚からは、『昨日は何をしていたのか』、『体は大丈夫か』などと心配されたり、気にかけられたりすることもあるでしょう。

そのようなちょっとした業務外の話題のすべてが雑談だとして禁止してしまうことは現実には難しいです。

法的にいえば、いくら労働契約に基づいて就労している時間とはいえ、人としての最低限の人権、自由はあります。企業に対し、自分の全人格を売り渡しているのではありません。労働契約とはそこまでの契約ではありません。

さらに、法理論を離れても、雑談が全くない職場の生産性、効率性が本当に高いのか、ということについて、世間で広く共有されている実証的な研究結果があるわけでもありません(もちろん、全くない、というわけではないでしょう)。

確かに、雑談が過ぎれば同僚や後輩の業務効率が下がる可能性はあります。要は、雑談が蔓延している職場、ということではなく、雑談も気安くできる職場、の違いを理解して、仕事をしやすくすることが大切でしょう」

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