「ボーナス3回に増やすから」。会社から厚遇を条件に退職を思いとどまるよう求められたのに、翌週には「アルバイトに格下げ」と約束と全く違う待遇を会社から告げられたというツイッターの投稿が話題となった。
投稿者が退職したいことを会社に告げると、「辞められたら困る」という理由で、毎日定時退社でOK、ボーナスを年3回に増やす、有給休暇も追加するという条件を提示された。そのため、いったんは退職を思いとどまった。ところが翌週、「あなただけ特別扱いできないから正社員からアルバイトに格下げ」と告げられたという。投稿者は改めて退社を決意したそうだ。
このツイートは9000回以上リツイートされ話題に。「労基署に相談した方がいい」などのアドバイスも寄せられていた。今回のケースのような会社側の対応は法的に問題ないのか。労働問題に詳しい櫻町直樹弁護士に聞いた。
●労働契約の内容を雇用者が一方的に変更することはできない
「労働契約(雇用契約)を規律している法律に「労働契約法」という法律があり、この法律の8条で『労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる』と定められています。 『その合意により』ということですから、契約当事者のいずれかが、労働契約の内容を一方的に(=他方当事者の同意なく)変更することはできません」
櫻町弁護士はこのように述べる。では、会社が当初提案した条件を勝手に変更することはできないということだろうか。
「今回のケースでは、『毎日定時退社でOK、ボーナスを年3回に増やす、有給休暇も追加するという条件を提示されたことを理由に、いったんは退職を思いとどまった』ということですから、会社・労働者双方の合意により、会社側が示した『毎日定時退社でOK、ボーナスを年3回に増やす、有給休暇も追加』という内容に、労働契約が変更されたと評価できると思います。
なお、労働契約法4条2項では『労働者及び使用者は、労働契約の内容・・・について、できる限り書面により確認するものとする』となっています。後々のトラブルを避けるためにも、契約内容の変更は必ず書面にしておくべきでしょう」
では、「アルバイトに格下げ」と会社から告げられた点はどう考えればいいのか。
「労働者がこれに同意しない限り契約の変更はできませんから、そもそも、『アルバイト』での労働契約は成立していません。契約内容は『毎日定時退社でOK、ボーナスを年3回に増やす、有給休暇も追加』のままです。 労働者は、その条件をきちんと履行するよう会社に求めることができます」
櫻町弁護士はこのように述べていた。