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ハロウィン「仮装出勤」が会社イベントに…嫌がる従業員にも強制したらパワハラ?
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ハロウィン「仮装出勤」が会社イベントに…嫌がる従業員にも強制したらパワハラ?

仮装をした人が街を練り歩き、例年盛り上がりをみせるハロウィン。職場によっては、従業員が仮装をして出社する会社もあるようだ。インターネット上の掲示板には、10月31日のハロウィン当日に「仮装出勤」をすることになったという人が「こんなのやって誰が喜ぶんですかねぇ」と不満を書き込んでいる。

投稿者は「ワンポイントの仮装可ってなんやねん 意味わからんし」「やりたい人だけやってる分にはワイも笑って見てるのに」と、仮装に乗り気ではないようだ。コメント欄には「くだらないことする会社で可哀想」など、同情する声が見られた。

ノリノリで仮装を楽しむ人もいるかもしれないが、その一方で、恥ずかしいなどの理由で仮装をしたくない人もいるだろう。投稿者がどこまで仮装を強制されているかは定かではないが、もしも従業員が嫌がっているのに会社や上司が仮装出勤を強制した場合、パワハラになるのだろうか。西口 竜司弁護士に聞いた。

●仮装、コスプレを強制するとどんな問題がある?

「最近ハロウィンが日本でも根付いてきたようで、街中にカボチャがあふれ、魔女やお化けのコスプレをした方の姿を見かけます。とはいえ、コスプレや仮装を会社が強制するとなると、問題が生じる場合があります」

仮装出勤の強制は、パワハラになるのだろうか。

「厚生労働省の定義によれば、『パワーハラスメント』とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為だとしています。

具体的には、殴る蹴るなどの身体的な攻撃や、暴言を浴びせるといった精神的な攻撃など、6つの類型があります。

この定義を元にすると、上司という優位な立場を利用して、嫌がる従業員にまで仮装やコスプレをして出勤するよう強いることは、業務の適正な範囲を超えており、相手の人格や尊厳を侵害していると評価される可能性があります。つまり、パワハラに該当しかねず、もしも該当する場合は、民法上の不法行為として損害賠償の対象になります」

西口弁護士は、「ハロウィンを楽しむのはいいことですが、他人が嫌がることを強制してはいけません。私は当日仮装をする勇気まではありませんが、皆様にはぜひ、楽しいハロウィンを過ごしてほしいですね」と述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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