牛丼チェーン「すき家」の従業員の労働が過酷すぎると指摘された問題で、運営会社「ゼンショーホールディングス」の小川賢太郎会長が7月31日、記者会見を開き、「顧客満足と従業員満足を考えながらやってきたつもりだが、労働時間という観点での具体的な管理については、やはり甘かったと認識している」と反省を口にした。
この会見に先立って、「すき家」の労働環境改善のために同社が設置した第三者委員会が調査報告書を小川会長に提出。長時間労働の禁止やサービス残業の防止、経営幹部の意識変革を行うことなどを提言した。
小川会長は「すき家で温かい牛丼を食べたいとお越しになったお客様にご迷惑をかけた。お詫び申し上げたい」と謝罪。今回の提言については、「すべてを真剣に受け止めて、これから、可及的速やかに是正すべき点は是正する」と述べた。
●「分社化」など、3つの改革案を発表
同社は今後の改革案として、(1)分社化(2)労務管理体制の強化(3)ガバナンス体制の強化の3点を発表した。
分社化については、6月2日に7つのすき家地域会社を設立。これまでは、東京の本社からすき家約2000店舗を管理していたが、各地域会社で約300店舗を担当するかたちに改め、きめ細かい対応を目指す。
労務管理については、すき家を運営する「株式会社ゼンショー」の社長直轄組織として、労政部を配置して、過重労働が発生しないように管理を徹底する。
ガバナンス体制の強化については、「株式会社ゼンショー」に常勤の監査役を置くとともに、社外取締役を導入する。
●「成功体験をもった意識は変えられなかった」
小川会長は、第三者委の報告書で、「『昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったものということができる」と指摘されたことについて、どのように考えるのかと記者から質問された。
小川会長は「今回指摘されたオーバーワークは私の責任でもあるが、成功体験を体の中にもった幹部の意識はそう簡単に変えられなかった」「問題を解決していけば、これからも成長することができる」と述べた。
また、辞任を含めた経営責任の取り方について問われると、「分社化を決めて、ゼンショーのガバナンス強化も進めている、ホールディングスの代表取締役として、グループ5000店の新たな体質づくりをサポートしてチェックする。これが第一の責任と考えている」と、続投の意思を示した。