JR東日本やJR東海の駅構内・線路にある広告看板の工事を請け負っている会社(東京・豊島区)が、男性正社員(40代)に対する残業代の未払いで、池袋労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。勧告は11月14日付。
男性と労働組合が12月9日、東京・霞が関の厚生労働記者クラブで会見して明らかにした。男性は、国の「過労死ライン」(月80時間残業)を超える長時間労働を強いられていたが、残業代が支払われていなかったという。
●タイムカードでは「月最大148時間」の時間外労働があった
男性はことし1月、長時間労働と取引先の社員によるパワハラによって、精神疾患(うつ病)を患い休職に追い込まれて、その後、主治医から復職可能の診断を受けたにもかかわらず、会社から「一方的に解雇された」という。
タイムカードの記録上、月最大148時間(2018年6月)の時間外労働があった。男性によると、休憩していなくても、昼夜計180分の労働時間が引かれていたり、都内から熱海駅などへの往復5時間の車移動も労働時間としてカウントされていなかったそうだ。
男性は現在、解雇撤回をもとめて団体交渉しており、年明けにも労災申請をおこなう予定だ。
会社は12月9日、弁護士ドットコムニュースの取材に「担当者不在」としている。
●「まともな休憩すらとれず」
男性が加入する労働組合「総合サポートユニオン」は「過労死ラインに抵触するほどの労働によって疲弊し、まともな休憩すらとれずに集中力の著しく低下した作業によって業務管理がなされ、その設置物の真下を今このときも人々が行き来し、電車が通過している」としている。
総合サポートユニオンは、12月15日(日)13時〜17時と12月22日(日)13時〜17時、建設業の現場監督向けの「無料労働相談ホットライン」を開催する。電話番号は、0120-333-774。