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継父は「遺産目当て」だった!母が亡くなり、明らかになった本性…縁を切るには?
写真はイメージです(つむぎ / PIXTA)

継父は「遺産目当て」だった!母が亡くなり、明らかになった本性…縁を切るには?

「母の再婚相手から母の遺骨を引き取って、縁を切りたい」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者の母は4年前に再婚。相談者自身も、1年ほど前に母の再婚相手(継父)と養子縁組を結びました。ところが、数カ月前に母が突然他界してしまいます。

すると、継父は豹変。葬儀の際、「お前(母)が死んだから、じいちゃん(母方の祖父)の遺産が俺に回ってこなくなった」などと発言したそうです。お金のことを理由に、母の骨を埋葬しようともせず、家に置いたままにしています。

そうした継父の「本性」をみた相談者は、継父の家にある母の遺骨を自分のもとに引き取って、養子縁組も解消したいと考えています。

母が亡くなった後、その再婚相手と養子縁組を解消し、母の遺骨を引き取る法的手段はあるのでしょうか。松岡義久弁護士の解説をお届けします。

●養子縁組の解消は認められる?

ーー相談者は、母の再婚相手である継父との養子縁組を解消することはできるのでしょうか。

養子縁組の解消は、離婚とパラレルに考えることができます。継父との協議が整えば、離婚と同様、離縁が可能です(民法811条)。家庭裁判所の調停で合意して離縁することもできます。

継父が離縁に応じない場合には、離縁を求めて訴訟を起こすことになりますが、その場合、離縁の原因が必要となります。

離縁原因は、(1)悪意で遺棄された、(2)生死が3年以上明らかでない、(3)その他縁組を継続し難い重大な事由があることです(民法814条)。

今回のケースでは、「そもそも養子縁組は母の存在を前提にしていた」「今後も継父の発言・態度が改まらない、悪化する」「相談者との対立が激化、長期化する」「相談者との関係が長期間疎遠になる」といった事情が重なれば、(3)にあたり、裁判で離縁が認められる可能性が高まります。

●遺骨を引き取ることができるのは誰?

ーー相談者は、母の遺骨を引き取りたいとも考えています。

遺骨は祭祀(さいし)承継者(死者や祖先のまつりごとを行う者)に帰属するとされています。祭祀承継者は、(1)被相続人(相談者の母)の指定、(2)その地方の慣習、(3)家庭裁判所の審判の順で決めることになります(民法897条)。

裁判所では、相談者の母との身分関係、過去の生活関係・生活感情の緊密度、祭祀の主催意思・能力などを考慮することになります。

本件では、(1)(2)で決まらない前提で話すと、継父の発言や態度からは継父の祭祀の主催意思・能力に疑問があります。

上であげた考慮要素との総合考慮にはなりますが、このような発言、態度が続き、改善が見られない、よりひどくなるなどの事情がある場合には、遺骨の帰属を相談者にする旨の審判がなされる可能性が高まります。

(弁護士ドットコムライフ)

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プロフィール

松岡 義久
松岡 義久(まつおか よしひさ)弁護士 宮島綜合法律事務所
横須賀市内(京急横須賀中央駅徒歩5分、裁判所徒歩2分)で事務所を共同経営するパートナー弁護士。京都大学法学部卒、警察庁(国家Ⅰ種)を退職後、2回目で旧司法試験合格。相続、交通事故、債務、離婚、犯罪被害者支援、中小企業、行政のトラブル、顧問など幅広い分野を専門に扱う。

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