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2018年09月08日 09時55分

がん治療中、非情な離婚宣告 夫が「お前とはムリ。やっていけない」、話し合いもできず

がん治療中、非情な離婚宣告 夫が「お前とはムリ。やっていけない」、話し合いもできず
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

がん治療中に、夫から離婚を求められた女性が弁護士ドットコムに相談を寄せました。夫からは「離婚したい、家にもどるつもりもない、お前とは無理だからやっていけない」と言われましたが、女性は離婚には同意せず、別居を始めたそうです。

女性によると、半年ほど前から夫に異変がみられました。仕事を理由に朝帰りが多くなったものの、「(病気治療中は)家の事もやってくれたり私の病気の事で迷惑ばかりかけていた」と後ろめたさを感じ、我慢していたといいます。うるさい事は言わず、どこで何してたのかも聞かないようにしていました。

最近になって、離婚を申し出てきた夫。相談者は、その理由は女性関係なのだろうと考えていますが「確実な証拠はなく携帯もロックがかかっており証拠はつかめていません」と話します。夫は何か話しても怒鳴ってキレるため、話し合いは成立しません。

女性は不倫の証拠を掴んでいないそうですが、離婚調停をすることになったら離婚に同意しなければならないのでしょうか。小田紗織弁護士に聞きました。

●「離婚を強制されることはない」

「最近、夫の不倫に悩む女性からのご相談が多いですね。スマートフォンさえあれば簡単に出会うことができ、連絡も容易で密会しやすいからでしょうか。

離婚調停になったら離婚に同意しなければならないのか、という相談ですが、同意する必要はありません。離婚調停は、調停委員が間に入り、当事者の意思を確認しながら離婚をするか否か、離婚をするとしてその条件(親権、養育費、財産分与等)について話し合う手続きです。結論(離婚)を強制されることはありません」

妻は、離婚には応じたくないようです。その場合、調停ではどのような話をすることになるのでしょうか。

「とにかく離婚したくない、と言うこともできます。あるいは、条件によっては離婚に応じてもかまわないとして、条件について話し合うこともできます。

離婚を強制されないとしても、離婚に応じた方が妻にとって得である場合には、調停委員から離婚を勧められることはあります。たとえば、夫が良い条件を提示してきている場合です」

●今後の生活など総合的に判断して

ケースバイケースなのですね。では今回の事例ではどうでしょうか。

「ご相談のケースは、すでに別居されているようです。別居期間中、妻は夫に『婚姻費用』(生活費)を請求できることが多いですので、まずはその手続きができます。

その先は、ご自身のお気持ちを整理してみてください。

このまま復縁することなく、別居生活が長くなれば、別居期間の長さを理由に離婚が認められる可能性もあります。その事態と次の場合を天秤にかけてみてはどうでしょうか。夫が、婚姻費用に相当するか、それ以上の金銭の支払いを離婚の条件として提示してきた場合、妻にとって有利な条件で離婚した方が長い目で見れば得である、という考え方もあります」

それでも「離婚したくない」と考え、調停でも折り合えなかったら、どうなるのでしょうか。

「離婚を拒否、あるいは条件が折り合わなかったことにより調停が不成立となった場合ですね。それでも夫が離婚を求めるのであれば、夫が離婚訴訟を起こすことになります。

ただ、必ずしも認められるとは限りません。妻が重い病気にかかっており、離婚をすることで妻が過酷な状況に置かれる場合に、離婚請求が棄却された例もあります。ただ、離婚が認められる場合もあります。

相談者には是非、次のことについて考えて欲しいです。(1)訴訟になった場合に離婚が認められる可能性はどの程度か(2)別居はこのまま続く見込みか(3)ご自身の治療(医療保険契約も確認しましょう)(4)お子様のこと(5)これからの生活(仕事や経済面)

このように、考慮しなければならないことは沢山あります。離婚した方がいいのかどうか。気持ちの面だけでなく、様々なことを考慮し、総合的に判断して欲しいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士を目指し活躍中。
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