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「授かり婚」の二児の父、人生やり直しを計画 「価値観合わない」を理由に離婚できるか
画像はイメージです(buri/PIXTA)

「授かり婚」の二児の父、人生やり直しを計画 「価値観合わない」を理由に離婚できるか

夫から「価値観が合わないから離婚してくれ」と言われてしまい、途方にくれていますーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような投稿が寄せられました。

相談者の女性は、授かり婚で結婚3年目。2人の子どもがいます。夫は女性に対し、「価値観が自分と合わない」「できちゃった婚で何となくダラダラけじめをつけずにやってきてしまった」などと言い出し、「ここで気持ちをきちんと整理させたい」と離婚を申し出てきました。

相談者は「他にも何か理由がありそうな気もします」と疑っているものの、幼い2人の子どもがいるので、離婚に応じる意向はありません。夫は裁判も視野に入れて離婚を考えているそうですが、このような理由で、一方的に離婚は認められてしまうのでしょうか。亀田治男弁護士に聞きました。

●離婚はおそらく認められない

夫から「価値観が合わない」「何となくダラダラけじめをつけずにやってきてしまった」のでという理由で離婚を申し出られているとのことですが、結論から申しますと、このような理由だけでは、裁判では離婚はおそらく認められないものと考えられます。

民法では、離婚事由として「(相手方)配偶者に不貞行為があった場合」「配偶者から悪意で遺棄されたとき」「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」の5つが離婚事由となると規定されています。

ーー今回の相談事例は、この5つに該当するのでしょうか。

「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうかがポイントになります。

●婚姻関係が破綻しており、その修復が著しく困難といえるかどうかがポイント 

ーー「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうかは、どのような点を考慮するのでしょうか。

いわゆる価値観や性格の不一致だけでは「婚姻を継続し難い重大な事由」には該当しないと考えられています。これに該当する場合とは、おおまかに言えば婚姻関係が破綻し、その修復が著しく困難と言える場合のことを指します。

例えば、▽DVが継続的に行われている、▽相手方配偶者が極端な浪費家でサラ金等からの借入れを頻繁に行い家計がたちゆかない状況を作っている、▽相当期間夫婦が別居生活を送っているーーなどがこれに該当しえます。

ーー結婚3年目で同居している今回の相談者の例では、どうでしょうか。

破綻や修復が著しく困難かどうかの認定は、裁判官の評価によって決められるものです。

明確な基準を示すことは難しいのですが、今回の相談のように「価値観が合わない」「何となくダラダラけじめをつけずにやってきてしまった」という程度の理由では「婚姻関係が破綻しており、その修復が著しく困難」とは裁判官も認定しないものと思われます。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

亀田 治男
亀田 治男(かめだ はるお)弁護士 渋谷プログレ法律事務所
東京弁護士会会員。一般民事(訴訟案件等)、家事事件(離婚・相続)と企業法務に幅広く携わる。特に訴訟案件を得意とする。2018年1月、渋谷プログレ法律事務所開設

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