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【親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「虐待やDV被害への配慮も盛り込んだ」
馳浩衆議院議員

【親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「虐待やDV被害への配慮も盛り込んだ」

超党派の国会議員(約70名)が所属する「親子断絶防止議員連盟」が、法案提出を目指している「親子断絶防止法案」。法案では、未成年の子どもがいる夫婦が別居、離婚する際に、面会交流や養育費の分担に関する書面での取り決めを行うことや、面会交流の定期的な実施を促す。しかし、弁護士や研究者らからは、DV被害者への配慮が不足しているなどと危惧する声もあがる。超党派議連の事務局長である馳浩衆議院議員(自民党)に、前編(馳浩・議連事務局長「養育のあり方のルールは規定すべき」

https://www.bengo4.com/c_3/n_5438/)に続き、見解を聞いた。

●「離婚のベテランはいない」

ーー面会交流の重要性を周知していくための立法ということか?

一般論として、離婚のベテランはいない。私も一度、離婚しているが、誰しも離婚のベテランではない。それぞれに離婚の背景があるものだ。しかし、離婚は子どもたちに影響を与える。

離婚がともすると、いじめの要因になることもある。また、経済的な負担によって、スポーツもできず、塾にも行けない、土日もどこにも行けないこともある。勉強ができる子、スポーツができる子が、その機会が与えられない。これは教育の機会均等に反するのではないかとも考えられる。

本来、子どもがもっている能力、教育機会均等という理念を考えたら、経済的な負担によって、自分の進路を変更をせざるをえないようにしていく必要がある。離婚にともなって子どもに影響を及ぼす問題に、社会制度として取り組む必要があるのではないか。

婚姻制度はあるが、離婚した後の未成年の子供についての制度は、残念ながらない。離婚するのには様々な事情があるが、まず離婚後の子どもを守る、子どもの安心を考えるための立法だ。

ーー養育費のほうが重要ではないのか?

両方必要だ。

子どもにとってみれば、同じようなものだと考える。経済的な基盤が安定していること、そして、両親の存在があって自分が存在するというアイデンティティーの問題だ。しかしながら、離婚した方々にとっては、養育費と面会交流は(バーターになるなどの)交渉材料になることがあるので、次元が違う話として、とらえてください、ということだ。

ーー面会交流によって、アイデンティティーの危険は補えるのか?

思春期に自分の存在とは、なぜ生まれてきたのかを考えていく中で、自己肯定感が芽生えていく。自己肯定感は、自立していく上で欠かせないものだ。成長していく段階で、母性と父性を享受する関係性は、自己肯定感につながり、自立する上でのきわめて重要なファクターだ。

●養育費の未払い問題

ーー離婚後の問題として、養育費の未払いについては、法案ではふれるのか?

面会交流と養育費はともに重要との認識でおり、法案でも養育費の必要性にはふれる。しかし、養育費の支払いと面会交流についてはなるべくリンクさせないようにする。

ーーなぜリンクさせないのか?

交渉材料にして欲しくないからだ。「金を出してくれたら、会わせる」「会わせないから、金は払わない」となって欲しくない。

ーー養育費については子どもの最善の利益を考える上で、重要な要素であるはずだが、別に法案を作る考えなのか?

社会情勢をみながら、ということになる。養育費の差し押さえについては、すでに法制審議会での議論が始まっている。私自身も問題意識はもっているが、まずはそちら(編集部注:民事執行法の改正案)でやるべきだと考えている。

ーーDV加害者との面会交流について懸念する声がある

大前提として、父親、母親の合意のもとに行う。事務局長であるので、具体的なケースについては、明確には言えない。しかし、面会交流をさせないほうがいい事案もあるのだろう。

特別な配慮が必要な事案の場合には、調停を使うこともできる。もう1つは、家裁の調停員、家事審判をする練度、熟度をあげてもらうしかない。

ーー法案への批判については、承知しているのか?

いろいろなご意見を聞いてきた。

ーー現在、法案は修正されていると聞くが、具体的に最終案はどのようなものになるのか?

言える範囲でいえば、面会交流に関して、子どもの意見表明は「確保する」と明確にした。このほかに、面会交流をスムースに進めていくための「民間団体の協力」という文言も入れた。

また、9条にもうけた「特別な配慮」を必要とケースについては、児童虐待やDVに配慮して、と明確に入れた。ここに限らず、(法案の原案を)非常に、揉んだんですよ。きゅうりを塩もみするように。

(弁護士ドットコムニュース)

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