法制審議会の家族法部会は1月30日、離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を可能にする民法改正要綱案を委員の賛成多数で取りまとめました。
政府が今国会での成立を目指していますが、法案提出前の議論は尽くされたかを尋ねたところ、77.7%が「尽くされていない」と回答し、「どちらともいえない」、「尽くされた」と回答した22.3%を上回りました。弁護士から寄せられたコメント、また今後現場はどう変わるのか、弁護士の意見を紹介します。
●「尽くされていない」コメント全文(2)の続き
「法制審議会委員すら、DV等の対策の議論が尽くされなかったと述べている」
「他の民法改正に比べても拙速に過ぎる」
「共同親権の問題点について、反対する人たちの不安を解消しうるかどうかという議論が十分なされていない」
「パブリックコメントでは、個人の方の半数以上、多くの弁護士会が、反対の意見等を表明したにもかかわらず、それが何ら反映されていない」
「推進派に迎合しているだけ」
「共同親権の問題点が広く知られているとは言えないから」
「選択的であっても、共同親権を導入することにより、子どもの安全が脅かされる恐れがあることについて、協議が尽くされていないから」
「共同親権になれば、非監護親である父に自覚が生まれて養育費を払うようになるとか、双方に権利が生じるので面会交流が円滑に進むとか、実態を全く無視した主張が報道されている。共同親権が相応しくないケースとして出てくるのはDV(身体的暴力に限る)と虐待事案だけだが、それ以外にも共同親権が相応しくないケースはある。非監護親に会うことが常に子どもにとって利益であるという議論も古いと思う」
「なにが共同決定事項か明らかでない。現場は混乱する。立証が困難なモラハラの夫婦では共同が強制されて逃げられなくなる。子どもが犠牲になる」
「現場の声を聞いたとは思えない」
「①単独親権とする場合の要件についての要件事実、審理、認定の方法等が明確ではなく、親権者を決定するまで相当な時間を要し、審理が長引く可能性が高い(傷害に至る場合でも我慢して病院に行かないケースもあり診断書等がない、モラハラ・身体以外への暴力などは立証が極めて困難である。そのため、早期の離婚のためDVを離婚理由に入れない場合もある。)、②離婚の要件として親権者指定の調停・審判の申立てを上げているが、調停・審判中の親権者の規律は明確ではない、➂養育費等に関する情報開示に応じない場合のペナルティは罰則だけでなく給与・報酬の証明がなくとも認定できるようにすべきである、④自営業者はおおむね確定申告の収入等をごまかしていることがあり不当に低い養育費等になりかねない、⑤自営・親族経営の場合、給与を下げたり、給与を報酬に変更またはその逆をするなどして差押えを免れるケースに対応できない⑥改正案のとおりであれば裁判所調査官も裁判官も不足することが予想されるなど、ような問題が解決されてない」
「共同親権の導入を前提とした議論が強硬に進められた感が拭えないため」
「審議時間、内容共に浅い」
「「DVは除く」というが、どのようにDVを除くのかについて、全く議論が尽くされていない。DVの立証方法、DVの判断基準、DVを判断する手続き及びそのインフラ、DVを立証できなかった場合の扱いなど、共同親権導入前に十分議論を尽くし、家裁等のキャパシティを確保する必要がある。フランスは共同親権導入時に裁判所職員を8000人増員したとの情報もあるが、日本でその覚悟があるのか疑問」
「法案提出前の議論状況を一通り見ていたが、結果ありきの議論になっており、検討の過程において離婚紛争の実態・実情が全く考慮されていない」
「法案はいきなり提出された印象がある」
「パブリックコメントでの女性の意見や実務家専門職の反対を吟味していない」
「拙速の一言に尽きる」
「実務家の反対を押し切って、学者の理念だけの改正議論だったと思う。離婚後の父母の関係について大規模な調査を行うなど、離婚後の父母関係の実際に基づいた改正を行うべき」
「そもそも、離婚後の子の監護等に関する実態の調査が不十分」
「当初から結論ありきの拙速な議論であり、反対意見にはまったく耳を傾けていないから」
「原則面会交流実施論にのっとって面会交流を経験してきた当事者(特に子ども、元子ども)に対する調査や検討がなされていない。審議会の委員には子どもの専門家(児童心理学、発達心理学など)が不在であり、子どもを守るための議論がなされていない。パブリックコメントへ多数の反対の声や理由が示されたが、議論の中で一顧だにされていない(公開もなされていない)。裁判所からも反対の声が出ているし、実務家からの懸念の声も完全に無視されている。共同親権になれば子どもに会える、関わることが出来るかのような誤解が広がっている。審議委員であった棚村氏自身が、共同親権か単独親権か否かの基準などについて十分な議論がなされていないと認めている(のに賛成していることに強く疑問を感じる)。ひとり親に対する様々な支援が、共同親権適用の場合にどうなるのか、全く議論も検討もされていない。法務省民事局のA4・1枚ものの資料(ポンチ絵)において、「子連れ別居に配偶者の同意を要する」旨の記載があったが、そのような話は法制審議会の中で触れられていないのでは。あたかも議論をして賛同を得たかのような書きぶりにも、その内容にも驚いている」
「親権についてはDV被害事件をはじめとする懸念への効果的な対応が検討されてもおらず、より子どもの生活に直結する養育費についてはさほど議論が積み上げられていないので、議論の優先順位も違えば不十分でもあると思う」
「家裁の体制も不十分な中、実際の運用が上手くいくとは思えないが、それについての策を何も講じていないため」
「共同親権の話が出始めてたら法案提出までの期間が短すぎる。結論ありきで議論が進んでいるため」
「親権について理解していないと思う。非親権者は子に会えないのが不満と思われるが、それは面会交流の拡充で解決されるべき問題で、法律行為の同意である親権がその問題の解決策になるわけではないと思う」
「DV被害者家族の権利利益の侵害について、十分な検討がされていない。子どもに別居親と関わりたくないという意向がある場合の子どもの利益について、十分な検討がされていない」
「どのようにDVや虐待の被害者を保護するか、家裁の人員不足にどう対応するか等、導入にあたっては問題が山積みだと思うが、それらの問題に関して具体的な議論がなされていない。現実を度外視して理想、理念だけを語るのであれば、専門家を審議会の委員にする必要はない」
「共同する「親権」の中身が定義されていない。共同親権になれば自由に面会できるという誤解を与えている。DV・虐待が例外とされているが、何が「DV」「虐待」であるのか提示されていない。「急迫」の文言が審議会での議論の内容を反映していない。避難する際の支援策も養育費の徴収改善策も先送りされたままである。面会交流支援について裁判所の実情と改善策が何ら検討されてない。祖父母の面会交流について、父母でさえ調整に裁判所も代理人も苦労している現状、どうやって調整のリソースを確保するのか何も議論されていない。子どもの意見表明の機会が保障されていない」
「懸念点が十分に検討されたとはいえないからです。弁護士だけでなく、全国青年司法書士協議会から共同親権に対する反対意見が出たり、全司法労働組合から全司法新聞で共同親権導入後の懸念点が指摘される等、多方面から合理的な理由に基づく懸念点が指摘されています。そのような状況であれば、拙速な法案提出は避けるべきで、丁寧な議論を続けるべきだったと思います」
「ただでさえ、家庭裁判所のキャパシティが足りない中で、さらに負担を増やすことについて、何ら手当、対策も検討されていないためです」
「大多数の反対意見であったパブリックコメントが全く参照されずに審議が急速に進んでいる。海外も共同親権が通常と言われているが、日本と海外の制度は当然ながら異なっており、子どもを守るスキームも異なっている。海外の共同親権を巡る問題ケースについて十分な検討がなされていない」
「子どもにとって、離婚後の両親が共同親権を持つこと自体が、ナンセンスと考えます」
「強行された印象」
「離婚紛争に関し相当の経験がある実務家の意見が反映されていない」
「離婚して未成年の子を持つ父母に対しアンケート調査などして、当事者の意見を広く意見を聴取すべき」
「共同親権の例外となるDV事案をどのように認定するのか、という要綱案の立場からすれば極めて重要な問題についてほとんど言及されていない」
「面会交流の社会的資源が不足しています。共同親権の場合の養育費、子ども手当はどうなるのか、どのような場合に共同親権が機能するのか、具体的に示されないままに法案を提出するのでは、社会が混乱します。その被害者は子どもです」
「ただでさえも家裁は事件が増加しており、マンパワーが足りず、調査官の調査も不足していると思われるケースがあるのに、家裁に投じる人材・資源の増加はされるのか、不明である」
「精神的暴力含むDV事案への弊害、家裁の対応力等が十分議論されていない」
「実際に調停、訴訟の現場だけでなく、弁護士業務の内側(訴訟の場には出ない事実の聴き取り等)をふまえて検討すべき課題であると思う。表面的な事象だけで法案を考えると失敗する問題だと思う」
「審議会委員が個別に反対の記者会見をするのは異例。私たち弁護士実務家の意見、事案の多様性や困難さ、等について、十分に議論されているとは思えない」
「議論の進め方が強引すぎる。議事録は2カ月ほどしないと公開されず議論の内容も国民に開示されないままで、進められている。部会で多数決をとることも、反対があったのに審議会に要綱案をかけることも異例。一番の利害関係者である子どもの意見をきくプロセスも全くない」
【どちらともいえない派の意見】
「よくわからない」
「本当に、何とも言えません」
「議論の状況をよく知らないから」
「かなり前からやっていますが肯否両論において感情論が多い気がします」
「どちらかといえば共同親権導入ありきの議論が多かったように感じる。メリットが過剰に強調されており、共同親権制度が過大評価されたまま議論が進んでいたような印象がある」
「議論の内容をよく知らない」
「毎度のことですが、世論にアピールするために、成立を急いだような気がします」
「政府内での議論の内容を十分に把握できていないため」
「親権停止の要件がよくわからない」
「議論が十分なされたとはいえないものの、賛否あるので、どこかで決着をつけるしかないとも考えるから」
「要綱案が出されてから成立させるまでの期間が短く、国民に広く理解を得る機会が足りない」
「離婚を経験した夫婦、離婚を考える夫婦に対して、アンケート調査がされたのか、十分な調査がされたのか不明」
「議論の詳細を把握していませんので」
「根強い反対論もあり、社会の理解が深まっているとは言えない」
「国会に知り合いは居ないので議論が尽くされたかどうかなんて分からない」
「内容を追えていない」
「法案としての議論は尽くされているのかも分かりませんが、それを実施していくための裁判所の体制(調査官の確保等)等を考えると、今後の問題点はあるのではないかと思います(但し、それを乗り越えても、選択肢としてあるべきだと私は思います)」
「議論が尽くされたかどうかを判断できるほど議論状況を正確に把握していない」
「ドラスティックな改正の割には議論は尽くされていないように思う。ただし、共同親権推進派と反対派の対立はほぼ党派的なものであり、議論をしても平行線のままと考えられるため」
「実際の養育をどうするか。一方が他方を拒絶した場合の対処をどうするかに、なお検討を要すると思われる」
「審議会での議論についてよくわからないので」
「反対側の具体的事情をどれほど理解されているのか疑問」
「どこでどのような議論がなされているのか知らない」
「それぞれの立場で言いあうだけで建設的な作業という印象を受けない」
「単独親権の問題性についての理解・周知が不十分」
「どんな議論をしているのか、不明であるので「どちらともいえない」」
【尽くされた派の意見】
「2年で足りない理由がない」
「長時間激論を交わしており、これ以上議論しても平行線」
「家族法研究会での検討、法制審議会家族法制部会での検討、パブリックコメントを経ています。共同親権の導入については2016年にも超党派から親子断絶防止法案が提出されており、かなり前から議論がされてきています。共同親権は子どもの権利条約で保障されている子どもの権利です(同条約3条1項・9条1項・9条3項・18条1項)。日本は子どもの権利条約を批准してから30年以上たっていることからも、十分議論する時間は過ぎたと思います」
「民間法制審の案は踏み込んだ案でまあ通らないとは思っていましたが、実務的にはいい案だと思っていました。そこそこ議論はされての落ち着きどころとしての改正案かと思われ、致し方ないところと思います」
「海外の影響で、共同親権の議論自体は古くからなされていたため」
「共同親権の導入は、世界の推移及び国民の皆さんも共同親権に理解を示しており、法制審議会でも社会情勢の変化に応えるための要綱案になっていると理解しているので」
「DV事案にも配慮している」
「法制審の審議中、賛成論と反対論がおおいに主張されて、審議に反映されている」
●現場はどう変化するか
要綱案通りに共同親権が導入された場合、離婚の当事者たちの現場にはどのような変化が起きるかについて、以下の声が寄せられました。
「連れ子虐待死事件の減少」
「例外的に単独親権を求める場合の親権争いが、いままで以上に先鋭化すると思います」
「相手方に嫌がらせ目的の運用が可能になる」
「離婚後に接触する機会が増え、トラブルにつながる可能性がある」
「DVは単独親権になるので、離婚後、父親の関与を増やすきっかけになる」
「父母が養育に関わることにより、離婚により子どもが被った精神的苦痛がいやされることになりやすくなる。子どもの奪い合いのような事態が劇的に減る」
「親権の行使を含め話し合いで進めることが予定されており、父母双方が子どものために話し合いによって解決する事例が多くなる。一方、DV等の主張がなされていたとしても、裁判所、当事者の思考停止が少なくなる]
「面会交流が従前より多く行われると予測します」
「離婚に際して離婚後単独親権を巡って争い合うのではなく、離婚後の子の養育の在り方について話し合いをして、夫婦としてでなく子どもの父母として協力しあう関係を再構築するように解決の在り方が変わってくると思います。DVや児童虐待の被害者への支援を充実させる取り組みも進むと思います」
「監護権の争いになりそう」
「共同親権の行使方法及び面会交流の取り決めが細かくなるように思います」
「子どもの養育に共同していく意識が醸成され、子どもの福祉にプラスになっていくと思う」
「原則として共同親権という運用が定着すると思う。さほど変化が生じない」
「大きな変化はないと思う」
「共同親権に反対の当事者は、親権者指定を家庭裁判所に持ち込み、裁判所の負担が増えるかもしれない」
「私の周りでは「親権を認めて早く離婚出来るならそれで構わない」とする意見や、「子の親権者として社会的地位や財力のある父親の名を連ねることが子の利益になることもあるのでは」等の妻側の意見もありました。中には「今後、子を通して相手との関わりが継続されるのは困る」という意見もありましたが、両親の主観ではなく「子の利益」にとって有益でない場合は単独親権との判断になる建前ですので、制度自体には問題はないのではないかと思います。また協議できない場合の共同親権の審理で紛争が長期化するという話もありますが、現在でも親権者を争う場合にはその問題は既に起きていますので、余り影響はないようにも思われます」
「裁判所の負担は大きくなるが、裁判所(調査官も)が事実を精査するようになるので、当該夫婦の実態に即した判断がなされるようになる」
「子どもを確保した親があえて紛争を激化させることによって、単独親権を勝ち取ろうとする事態が懸念される。したがって、裁判実務では、原則共同親権を定めるとい運用を確立する必要がある」
「少なくとも離婚の際に(一般的には女性が)「先に子どもを連れ出して監護実績を積めば親権争いに負けることはほとんどない」という状況が変わるし、これに対する弁護士の助言も変わると思います。できれば離婚時に「親権争い」ではなく共同親権を前提とした共同監護・共同養育の方法を協議する方向に変われば望ましいと考えます」
「あまり大きな変化はないと思われる。親権というものがトロフィー化されていた点は改善し、親権の帰属という争いは確かに減るかもしれないが、今度は単に監護権がトロフィー化するだけではないかと思う。現実には子どもと同居して養育するという監護権の所在が問題なのであって、親権が共同になっても子どもは1人である以上、子どもをめぐる争い自体にはあまり変化はないと予想する。「親権」という言葉を使うかどうかという変化、言ってしまえば言葉遊びに近い変化にとどまるのではないかと思われる」
「養育費支払いの実効性が増大する一方、面会交流の実効性は担保できないため、監護親の立場が強くなると思われる。また、面会交流ができないのに養育費だけ払わされる非監護親の不満が高まり、依頼者対応の難しい事案が増えるリスクがある」
「例外的に単独親権とする場合について、裁判所が従来どおりの運用をするならば、本来共同親権とすべき場面において、DVの事実が過大評価されること、子どものために急迫を要する場面について広く捉えられると親権を共同して行使すべき場面について単独親権が行使されかえって子どもの自由や安全、福祉が脅かされる危険性があることから、同居親のための親権とならないように是正していく必要があります。代理人となる弁護士も、今後依頼者の正当な利益とは何か、子どもの福祉と依頼者の利益が衝突する危険性についても意識した上で業務に当たるべきではないかと思います。依頼者の意見のみを押し通して子どもの利益に必ずしも沿わない主張や別居親を不当に貶めるようなことがないようにし、無益な争いを防止して離婚による子どもへの影響を減少できるように認識を変えていくことが不可欠です」
「当事者の関係のあり方が親権の選択に強く影響し、対立の激しい場合には相手方へのDV等の非難がおおくなって解決が長引く」
「子の具体的な居場所をめぐる紛争は避けられないので、親権の議論が、監護権に移るだけではないでしょうか。要綱案では、監護者の定めを必須としないとしていますが、子をめぐる対立が深刻な夫婦にあっては、監護権の議論が避けられるとも思えないので、そこまで変わらないのではないかと想像しています」
「既に離婚した非監護親からの共同親権を求める親権者変更申立てが増えると思われる。ただし、従前の親権の重要部分が監護権に置き換わるため、結局は共同親権となっても監護権をどのように設定するかが争点となり、実質はそれほど変わらないと考える」
「共同親権にしろ!という紛争(裁判)が増えると思います」
「子をどちらが引き取るかという問題は残る。当該事案で共同親権を認めるべきでないという主張はそれなりの数出てくると思う」
「共同親権とするか否かの争いは少なからず増えると思う。親権者変更の訴えは認められやすくなると思う」
「当事者の多数の関心は「親権」という名目的なものではなく、子どもが誰と暮らすか、面会交流をどうするか、養育費を幾らもらうかという具体的な論点にあり、共同親権が導入されても争点の立て方は変わらないと考えられる。面会交流は促進されるであろう。すでに、この10年で離婚相談の相談者の間で「面会はさせないといけない」という認識が広まっているように感じる。この傾向が一層促進されるであろう。財産分与においては、子名義の財産を財産分与対象から外し、離婚後も夫婦で共同管理する傾向が強まるのではないか。身上監護より財産管理権のほうで影響があるように思う」
「通常の養育者の決め方、他方の交流手段等について、協議が整わない場合の裁判所の関与の仕方が変わると思う。また、家裁の親権者への後見的関与が更に必要となり、現在以上に質的・量的な人員確保が求められると思われる」
「男性が共同親権を求め、女性が単独親権を求め、裁判所が女性の単独親権を認めて、従来と同様の運用になるに過ぎない帰結となることが危惧される」
「親権で争うことは少なくなり、離婚の合意ができるケースがある。他方で、共同親権の場合、どこまで、他方が関与するのか、不安であるので、従前通り、一方の親権を主張する可能性がある」
「めんどくさい主張が飛び交うだけ」
「単独親権かどうかの争いが増加」
「紛争が悪化拡大する事案が増えると思われる」
「共同親権の行使が現実的でないケースでも、その点に固執して解決が進まない」
「きわめて動揺が拡がると思う」
「親権行使の具体的な場面でトラブルが生じるように思います」
「モラハラ系の夫が共同親権を主張することになり、案件が複雑になり、長期化すると思われる」
「従前の親権をどうするかという問題に加え、共同親権にするか単独親権にするかの争いも起き、紛争が長期化すると考えられる」
「調停で解決できず、訴訟に至る案件が増える」
「子の監護に関する取り決めをせずに共同親権を選択した協議離婚の父母が親権行使を巡って争うことになる。ただ、結局は、共同親権を選択する当事者や裁判事例は少数にとどまることになるのではないか」
「共同親権が導入されても、監護者はどちらかの親がなるのであろうが、その理解がないまま共同親権の言葉だけが独り歩きすると思う。また、DV案件では、暴力を振るう配偶者に対する協議が求められる事態が予想され、裁判所が二次的加害に加担するおそれがありそう」
「結局重要なのは面会交流や養育費の問題だと思うが、これについて、実務上はそれほど大きな変化は実際には起こらないのではないか」
「当事者の対立がより悪化すると思います。子どもの交流などが円滑にできている離婚後の夫婦については、共同親権を法的に認めなくても、実質的には共同親権のような状況が実現できていると思います。他方で共同親権を裁判所の関与なしに実現できないような夫婦の場合、夫婦の対立は根深く、仮に裁判所の判断で、共同親権となった場合、かえって、子どもにとって有害になるではないかと思います(例えば進学に際しての学校選び等)」
「より混乱する。また解決までにより多くの時間を要するようになる」
「当初あるいはしばらくの間は、離婚調停の申立件数が増える可能性はある」
「非監護親が、子の利益とは関係なく、監護親への嫌がらせ・介入・関係性継続の意図の下に共同親権の取得を主張し、実際そのように共同親権を行使する案件が増えることが見込まれる」
「離婚したいばかりに意に反して共同親権に同意してしまい、その結果、子の重要問題について元夫婦間の意見が合わず、離婚後も紛争が長期化・深刻化する危険がある」
「離婚協議時には、親権の話し合いが監護権の話し合いに代わるだけで、特に変化はないように思う。離婚後、監護していない親の親権行使による紛争が生じやすくなると思う」
「①離婚しても相手との関係が継続することで絶望を感じる人が出てくる。②一方で、単独親権とする条件として、面会交流の実効性が確保されるような協議がされる可能性がある」
「すでに離婚が成立した案件でも共同親権への変更請求等で再度紛争に巻き込まれる可能性がある・進学や養子縁組等で共同親権者である非監護親の同意が得られない場合に新たな紛争が生じる」
「暴力・暴言の有無に関する主張に重きが置かれ、子どもの将来のための共同親権となりにくいのではないか」
「今も生じている面接交流紛争が激化する」
「DV等の主張が増え、親権者間の紛争が激化する。また、離婚後の紛争も継続して起こる]
「端的に争点がひとつ増える。共同親権であろうが単独親権であろうが、具体的に父と母が子に対してなすべきことを詰める作業になる。そうすると、共同親権という枠組みで話をするのか単独親権という枠組みで話をするのか、無意味な争点が増えるだけになる。また、家庭裁判所がどのような判断を示すのかブラックボックスであるため、予測可能性を欠き、紛争を激化させるだけであろう」
「高葛藤事案で共同親権が離婚後も継続した場合、教育の選択等親権を行使する場面で元夫婦の争いが再燃するおそれがある。一定割合の当事者は離婚の経験から学びを得て成長すると思われるが、そうでない当事者は争いを継続すると思われる。この弊害を防止するための支援や教育が一層必要になると考える」
「いっそう紛争が強くなるのではないか?子どもに対する責任をどう果たすのかでなく、自身の権利主張ばかりして対立を深めるきっかけになりかねないと考える」
「子の姓を変えないでほしいとか、つまらない(と言うと失礼だけど)もめごとも増えそう。アメリカ人みたいに、別れた夫婦と子どもが一緒に食事して話し合うような関係が出来ればいいのだけど……」
「①親権を共同にするか単独にするかの争いが激化する(特に判断が出た後でも再訴の可能性が高い)②共同親権になった際の、具体的事項につき裁判所への提訴件数が増え、裁判所が処理が遅れる可能性が高い」
「不用意な子の取り合いの事案が減る一方、DVや虐待被害者に心理的プレッシャーになり、精神的に安定した生活を送ることができず、離婚を躊躇したり、その後のケアが必要になったりすることが懸念される」
「高葛藤状態がより激化する」
「共同親権の是非という争点が増え、子との同居や面会交流をめぐる争点は減らない」
「よくわからないが共同親権では子の監護権は問題とならないのか」
「➀審理の長期化、②主張の先鋭化など」
「調停離婚、裁判離婚はより長期化し、父母間で子の抱え込み・一方の親との断絶を図るというケースが出てくるのではないかと考える」
「手続きの長期化」
「共同親権を合意した場合、別居後にも親権行使の為に協議しなければならず離婚した当事者二人にとって大きな負担となる」
「そもそも離婚しにくくなるのではないか」
「当該未成年者について共同親権になったとすると、親権者の意向は必ず食い違うことになるとしか思えず、そうなると子どもが不幸にしかならない。単独親権に一度なったとしても、共同親権に切り替えるよう再度申立てが行われて紛争が蒸し返される」
「未成年子の重要行為に関し紛争が頻発し、かつ、拡大する。家裁で事件が滞留する」
「共同親権が人質になるだろう」
「DV被害者は、子を引き取ることをあきらめ、面会交流もあきらめるだろう。子は母に捨てられたというダメージを受ける」
「DV夫が共同親権にかこつけて不当要求を行う危険性、早期に離婚したいと考えて合意して共同親権を選択したもののその後ひたすらこじれ続ける危険性、共同親権により適切な親権行使ができない結果子の利益が著しく害される危険性、裁判所が無駄に共同親権を進める危険性(夫婦の実情を理解しないままに安易な促しをしてくる危険性)」
「紛争激化」
「共同親権を選択した後、子どもの生活や進路について意見が食い違い、紛争が頻発するのではないか」
「DVなどで離婚した家庭で、子どもに対して暴力を振るう親がアプローチしやすくなる事も考えられる」
「DV証明できない限り裁判で共同親権の判断がなされるようになり、支配下に置かれている一方が永遠に解放されなくなる。共同親権が円満に実施できる夫婦なら現状でも共同することができているはず」
「夫婦によると思う。円満な離婚ができれば共同親権は問題ないが、円満でない離婚の場合は運用で大きな支障がでると思われる。また、DVなどによる離婚後も、相手方配偶者との関わりを事実上強制されることを懸念し、結婚件数も減少になるのではと思われる」
「親権争いの代わりに共同親権にするかどうかの争いになるだけで離婚時の紛争の実態はあまり変わらないのではないか。しかし離婚後の紛争で家裁に持ち込まれる事件が激増するのではないか」
「離婚後も呪縛から解放されないDV被害者が増える。早期に相談に来てもらうしかない」
「DV被害者を保護するなどと言っても、おそらく裁判所は単独親権とする判断は抑制的に行うと考えられるから、共同親権という判断がなされ、共同できない相手方と共同を強いられる結果となる。結局声が大きい方が勝つ。声が小さい方は言いなりになるほかない。当事者同士で何も決められず、一方が独断で決めた場合に損害賠償請求がなされるなど、紛争が多発する可能性が高い」
「離婚や別居の選択肢を失う当事者が増える。審判が入試の出願に間に合わない状況を作られて子どもの進路が限定される。成人後の非監護親(で共同親権で口をはさみ続けた親)と子の断絶が進む」
「DVを受けている側は、ますます離婚できなくなるだろう」
「DV被害者が子を連れて避難することに躊躇し、被害親子の心身に甚大な被害が生じる恐れが高まる。子の進学、治療といった重要な局面で父母の見解が対立し、決められない結果、子に不利益が生ずる」
「現場は混乱することが明らかである」
「離婚後、子が成人するまで、調停や訴訟を繰り返すケースがでてくるとおもう」
「離婚に関して決着するのが遅れる。共同親権か否かでの無駄な議論が長引く。DV夫からの駆け引きに使用される」
「子どもの進学や入院・手術等で親権者の一方が同意しない場合、当事者同士の話し合いでは解決できないため、家庭裁判所に決定してもらうことになるが、手術等の緊急性を要する場合に家庭裁判所の事件処理では間に合わないため、その後、相互に子どもに不利益を生じさせて自身(親本人)に精神的苦痛を与えたとして損害賠償請求をすることに発展するのではないか」
「離婚後の様々な場面で共同親権者の承諾が必要となり、DV夫とのつながりを断ち切れなくなる」
「まず、離婚済みの非監護親から共同親権を求める調停が多数起こされると思う。平穏に暮らしていた親子の暮らしはリーガルハラスメントによって乱される。家庭裁判所の対応も到底追いつかないため、DVがあるかどうかの判断も十分になされることはない。現状、DVがあっても面会交流が安易に認められているが、さらにひどい状況になることが予想される。既に多数の事件が発生しているように、加害・支配欲求の強い非監護親を止めることは誰にもできない。弁護士もDV案件の取り扱いに対してさらに消極的になるだろう。女性たちは子どもを産むことすらためらう社会になると思われる」
「離婚後、学校や病院など、親権者の同意が必要となる場面で、同居親と非同居親の意見が対立し、適時適切な対応ができなくなる可能性がある」
「単独親権と共同親権で紛争が増え、共同親権に安易になってしまった場合、その後の子の利益に不利益が生じそう」
「共同親権なのだから云々という主張が加わって、そこに対する検討、審判例が出そろうまで不安定な実務となる」
「進学などの際に嫌がらせ的に同意をしないとか、同意をする代わりに養育費減額の同意を求められる恐れがある。共同親権を主張することで、他の離婚条件を有利にする動き(財産分与額や慰謝料額を下げる代わりに単独親権でよい等)が予想される。離婚済みの夫が共同親権を主張して新たな紛争を生じる(このような自体を不安視する相談をすでに複数件受けた。)」
「離婚後も、夫婦及び子どもの間で不必要な確執が生じると思います」