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クリスマス不倫にご用心 朝までホテルで…カップルの悲劇 びしょ濡れ探偵との見えない戦い
写真はイメージ(Ushico / PIXTA)

クリスマス不倫にご用心 朝までホテルで…カップルの悲劇 びしょ濡れ探偵との見えない戦い

「玄関から職場まで追っかけ、不倫デートは翌朝も続く。行為が終わるまでが仕事です」

そう語るのは、探偵シノザキさん(仮名)。来る日も来る日も尾行、張り込みに明け暮れ、路チューやホテルに入る男女の姿を撮影してきた。半年で約100件の調査をこなしたこともある。

「暇さえあれば会いたい人たちですから」。きらびやかなクリスマスツリーの横に、今日も彼はビデオカメラを持って立っている。

●雑踏の中、マスク姿でも見分ける秘策とは

シノザキさんが、引き受ける調査の約8割は浮気調査だ。

探偵に聞いたある1日のタイムスケジュール。さらに多忙を極める日もあるという。 探偵に聞いたある1日のタイムスケジュール。さらに多忙を極める日もあるという。

「路上駐車が大丈夫そうならば、車の中にいることもあります。車がない場合は、家の近くに立って張り込んでいます。茂みに隠れることはありませんよ。意外と堂々と立っています」

そうは言っても、探偵であることがバレてはならない。しかし、ひとりが追い続ければ、顔を覚えられてしまうおそれもある。単独調査の場合は帽子や服装などを変え、チームで取り組む案件の場合は交互に立つなどの工夫をしている。張り込み中は私有地に入らないようにするなど、細心の注意を払う。違法行為をすれば、営業停止になる可能性もあるためだ。

家を出たことを確認した後は、いよいよ尾行を開始する。利用する交通手段が電車であれば、そのまま同じ電車に乗り込む。マスクをしていても「見失う」心配はない。

「依頼者から事前に普段使っているバッグや靴などの情報を得ていれば、問題ない。満員電車のときは、対象者の靴を目で追うんですよ」

しかし、情報が少ない場合は、尾行も一苦労だ。

「利用する交通手段がわからず、自転車だったということがありました。このときは、ひたすら30分間、走って追いかけましたよ。なにやっているんだろうと。もちろん、こちらは自転車やタクシーのときもあります」

自転車に乗った対象者を走って追いかけながら、探偵は「自分はいったい何をしているんだろう?」と思ったという(すとらいぷ / PIXTA) 自転車に乗った対象者を走って追いかけながら、探偵は「自分はいったい何をしているんだろう?」と思ったという(すとらいぷ / PIXTA)

●帰れない、証拠をとるまでは

職場に入ったことを確認した後は、いったん「仕事終了」だ。しかし、対象者が定時に退勤するとは限らず、早上がりをする人もいるため、気を抜くことはできない。15時ごろから張り込みを再開し、退勤を確認後は、再び尾行。そのまま不倫が終わるまで追い続ける。

案件によっては、張り込みが12時間に及ぶこともある。

「6時間ぐらいは意外と平気です。ただ、雨の寒い日に3、4時間立っていたときはつらかったですね。意識が遠のいていく感覚でした。夏は汗だく。女性探偵からは、日焼け止めを塗りたくっても全部とれると聞いています。

チームで調査するときは交代で休憩しているので、お昼を食べる時間はある。『食べすぎると動けなくなる』という理由で、食事をとらないという探偵もいますけどね。

仕事は朝早く始まり、夜遅くに終わります。対象者がホテルに宿泊した場合は次の日の朝まで続きますし、朝もデートし始めた場合は、さらに拘束時間が延びます」

大手事務所にいる探偵からは、前日夜10時ごろに「明日は舞浜に行って」と指示されると聞いたこともあるという。「こんな感じなので、プライベートの予定を立てるのは難しい」と語る。

●人探しは「グレーな案件」も…慎重に判断

浮気調査以外に、人探しを依頼されることもある。夏になると未成年の親からの依頼が増えるという。

「夏休みもありますし、家がなくても生きていける季節。未成年の失踪の場合は警察が関与してくれることもあるんですけど、保護者によっては『警察沙汰になる前にみつけてほしい』という人もいます。『子どもは悪い連中とつるんでいる。警察に言えば逮捕されてしまうかもしれないから、早くみつけて』と言われたこともあります」

人探し以外に、「子どもがきちんと仕事をしているか確認してほしい」などと依頼する親もいるという(Fast&Slow / PIXTA) 人探し以外に、「子どもがきちんと仕事をしているか確認してほしい」などと依頼する親もいるという(Fast&Slow / PIXTA)

もちろん、探偵はどんな人探しでもできるわけではない。犯罪や違法行為に加担してはならないため、多くの探偵事務所のホームページなどでは、DV加害者やストーカーなどの依頼を引き受けることができない旨が書かれている。

「実際に話を聞いていて、ちょっとグレーではないか? と感じる案件はあります。どの事務所でも、事前に依頼者の話をよく聞き、慎重に調べていると思います」

●不倫された過去をもつ「傷を負った精鋭たち」

一歩間違えれば違法行為になるというリスクを背負いながら、ハードな仕事をこなす探偵たち。実際に働いているのは、どのような人たちなのだろうか。

「自分は元会社員ですけど、周囲には警察OBが少なくありません。大卒後ずっと探偵一本で生きているという人もいますし、バックボーンはさまざまです」

「たまたまかもしれませんが、不倫された過去を持つなど、まわりには『傷を負った探偵』が多いですね。夢と希望を失ったのか?人間に何も期待していないのでは?と感じてしまうほど、淡々と浮気調査をこなし、結果を出しています。全体的に男性が多いので、女性で探偵になりたいという人がいれば、重宝されると思いますよ」

スマホをいじりながら立っているだけの人物が「探偵」であると見抜く力はなかなかない。しかしシノザキさんは「なんとなく」同業を嗅ぎ分けることができるようだ。

「間違いなく探偵だ!と思っていた人が、バッグから同じカメラを出したんですよ。なんだか嬉しくなりました」

もしかしたら、今、あなたの近くにも探偵がいるかもしれない。

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