愛し合って結婚した2人でも、24時間365日仲良し夫婦でいるのは難しいもの。「金遣いが荒い」「子育てに協力してくれない」など、小さな不満が積み重なって、ある日、突然に爆発・・・。そうなると、その後、仲直りするまでに時間がかかることもあるでしょう。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談を寄せたある男性は、「夫婦喧嘩がエスカレートして、妻が出て行ってしまった」と、憔悴した様子で投稿しました。
「結婚して3年。新婚の頃はラブラブだったのに、ここ半年ほど、ささいなすれ違いから夫婦喧嘩が絶えませんでした。先日、勢いで『お前なんかと結婚しなけりゃよかった』と口走り、妻を泣かせてしまったんです」。
妻はその言葉にショックを受け、実家へ帰ってしまったといいます。「妻からは、2週間前に『もう一緒に暮らせない』とメールが届いたきり、音信不通です。私は離婚する意思はありません」。
家出してしまった妻ともう一度やり直すために、どうすればよいのでしょうか。鈴木 徳太郎弁護士の解説をお届けします。
(質問は弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに編集部が作成しました)
●夫婦関係の関係改善をはかる「夫婦関係円満調整調停」
まず、別居した夫婦関係の関係改善を図る方法の一つに、「夫婦関係円満調整調停」があります。
これは、円満な夫婦関係を回復するために話合うことを目的とした、家庭裁判所における調停です。ただ、この調停を申立てたとしても、双方に歩み寄る姿勢が見えない限り、話し合いがまとまるとは考えにくいです。
私の感覚的なものですが、たとえ夫婦関係円満調整調停であっても、「調停」という制度を利用するとなると、夫婦が元の鞘に収まることはほぼないのではないかと思います。
実際、夫婦関係円満調整調停をおこなっても、結局、離婚する方向へ誘導されたという話は珍しくないようです。調停に立ち会う調停委員も、円満な解決が難しいとみると、離婚を勧めることが多いのではないかと思います。
私がこれまで取り扱ったケースで、「別居した夫婦が関係を改善した」というケースは残念ながらありません。
印象に残っているのは、妻側から、夫婦関係円満調整調停の申立を受けた事案(双方弁護士あり)です。この事案では、離婚する方向で話し合いがまとまる直前に、妻側から「夫婦の関係改善のために弁護士に依頼して調停の申立を行ったのに、離婚方向で話が進んでしまった。どうしてこのようになってしまったのか?」といった話が出たことがありました。
この事案から考えられることは、やはり、弁護士に依頼をするとなると、双方が「戦う」という方向になりがちで、歩み寄る姿勢にはなりにくいということです。夫婦のやり直しを考えるのであれば、弁護士へ依頼をするかどうかは慎重に考えた方がよいでしょう。
結局、復縁のために絶対的に有効な制度などないのかもしれません。誠意を持って、自分に非があればそれを認めて謝り、そうでなくても相手方を認めてねぎらう。こうしたことを、自分の言葉で相手に繰り返し伝える、という方法しかないのではないのでしょうか。
直接話すことが難しい場合には、手紙を書くのが良いかと思います。誰かに書いてもらうのではなく、ご自身の言葉で書くことが大事でしょう。手紙さえ受け取ってもらえないような場合には、残念ながら夫婦関係は破綻していると言わざるを得ないでしょう。このような場合には、残念ですが、夫婦関係の清算を考えた方がよろしいかと思います。
(弁護士ドットコムライフ)