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「パートナーとしては地雷」 ステルス交際で結婚相談所やめる、「成婚料」踏み倒しの法的問題
画像はイメージです(いっこ / PIXTA)

「パートナーとしては地雷」 ステルス交際で結婚相談所やめる、「成婚料」踏み倒しの法的問題

コロナ禍の中、婚姻届を提出したばかりのカップル。聞けば、出会いは結婚相談所だったという。大手企業に勤務する妻のAさん(29)が語る。

「仕事が忙しくて。周りの友人も学生時代の恋人と結婚するパターンがほとんど。そうでなければ、会社の先輩や同期とかですかね。なかなか出会いの機会がなくて入会しました」

夫のBさん(31)は相談所ですぐに紹介された相手だった。人柄も穏やかで、育ってきた環境も似ていたこともあって、すぐに交際がスタート。「ダラダラ活動しないように」と数カ月で結婚を決めたという。

「うちは入会して一定期間内に辞めると違約金がかかる仕組みでした。早く相手が見つかったので、退会までの残り期間、(異性会員からの新たな連絡に)お断りの返事をしないといけないのが大変でした」

結婚相談所によっては、Aさんたちとは違って、相手が見つかったら「成婚料」を請求するところもあるようだ。そのため、お金は払いたくないと、交際していることを隠して、退会する人もいるのだとか。

「婚活的には、そういうルール違反をする相手は『地雷』だと思いますけど…」(Aさん)

もしも、ウソの申告で相談所をだまして、成功報酬を踏み倒したとしたら、どうなるのだろうか。福田慎也弁護士に聞いた。

●刑事責任を負う可能性も

刑事責任については、「2項詐欺罪」(刑法246条2項)が成立すると考えられます。

詐欺罪の主要な要件は、(1)詐欺行為があり、(2)財産上の利益が移転したかどうかですが、詐欺行為は虚偽申告によってなされたといえ、利益の移転も成功報酬を業者が請求せずに契約を終了させることで、移転があったと認定される可能性が高いです。

教科書的な事例でいうと「タバコを吸ってくる」と行って飲食後に外出して店に戻らず飲食代金を払わない事例と同視できますが、この事例でも2項詐欺が成立します。

ただし、事案としては軽微ですので、後述の民事賠償に応じて和解すれば、刑事訴追まではなされない可能性もあります。

●当然、民事責任も

次に、民事責任については、嘘の申告を契約違反であるとする債務不履行責任や、詐欺行為についての不法行為責任について、損害賠償を請求される可能性があります。

さらに、本来的な契約上の請求として、成婚料を発覚後に請求されることも当然にあり得ます。

なお、この種の契約の場合、申告に不正があった場合の違約金や賠償責任についても契約上で特約の規定がある場合が多いかとは思います。

プロフィール

福田 慎也
福田 慎也(ふくだ しんや)弁護士 ブラスト法律事務所
東京都台東区御徒町において男女・離婚分野に注力して、浮気・離婚協議・子連れ別居・DV対応など、事件内容の難易度を問わず、広く同分野の問題解決に取り組んでいる。

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