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「最初から相手を好きじゃなかった」結婚後に後悔…裁判ではどう主張すればいい?
画像はイメージです(Pangaea / PIXTA)

「最初から相手を好きじゃなかった」結婚後に後悔…裁判ではどう主張すればいい?

「後戻りできないと思って嫌だけど結婚した人」。ネット掲示板「ガールズちゃんねる」に、このようなスレッドが立っている。スレッド主は夫と「嫌だなーと思いつつ流れのままに結婚してしまった」という。

コメント欄には「結婚式も決まり、後戻りできなかった」「後がないと必死だった」「出会いなさすぎてやっと出会った旦那とスピードデキ婚」など、スレッド主と同じように最初から相手を好きではないのに結婚した人からのコメントが並ぶ。

しかし中には、離婚に踏み切ったという人もいる。「姑と小姑がしょっちゅう家に来て、我慢できなかった」「もう30だしやばい!と思って婚活して出会った人と後がないと焦って結婚したらとんだモラハラ野郎で結果離婚した」「結婚式を控えて、無理と気づき、引き返すことができず、結婚。5年で離婚した」などの投稿がある。

このように、最初から相手を好きではないという場合において、離婚しようと決意したときは、裁判でどのように主張していくべきなのだろうか。家事事件に詳しい伊藤真樹子弁護士に聞いた。

●裁判での離婚には「法定離婚事由」が必要

ーー「流されるままに結婚してしまった」「最初から好きではなかった」など離婚事由が漠然としている場合でも、裁判で離婚が認められることはありますか。

離婚を求める裁判は、当事者の納得の有無に関わらず裁判所が法律に基づき離婚を命じる手続きですから、法律で決められた離婚理由が存在していることが必要です。これを「法定離婚事由」と言い、以下の事由が民法770条で定められています。

(1)配偶者に不貞な行為があったとき
(2)配偶者から悪意で遺棄されたとき
(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

上記のいずれかの事実が存在することを立証して初めて、離婚の判決が出されることになります。

単に「流されるままに結婚してしまった」「最初から好きではなかった」という理由だけでは、上記の離婚理由のいずれにもあてはまりませんので、裁判で離婚が認められることはないと考えられます。

●離婚の準備は考え始めた時点から始めるべき

ーー「最初から好きではなかった」という相手でも、結婚生活を送る中で、愛情が芽生える人もいるかもしれません。そうした人たちと、離婚を決意した人たちの違いは、結婚生活を送る中で「やっぱり結婚を続けられない」という理由ができた可能性もありそうです。

そうですね。たとえば、上記「姑と小姑がしょっちゅう家に来て…」という事情があるケースについて考えます。

夫の親族の過干渉により婚姻生活に重大な支障が生じているのに、夫がこれに全く無関心だったり、親に絶対服従の態度だったりして、そのせいで夫婦間の信頼関係が崩れて修復の余地がなかったりするような場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因となる可能性があります。

また、モラハラがあるケースも、その程度によっては「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因となる可能性があります。

いずれのケースも、具体的な事実関係をどれだけ立証できるかが肝要です。夫の言動について録音などがあれば良いですが、それがなくても、日々の出来事をリアルタイムで日記に取っているだけでも、裁判で有益な証拠となる場合もあります。

離婚を考え始めた時点から、そのような準備を進めておくと良いでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

伊藤 真樹子
伊藤 真樹子(いとう まきこ)弁護士 仙川総合法律事務所
2008年に弁護士登録後、離婚や相続などの家事事件、債権回収などの民事事件を500件以上取り扱う。「何かあったらすぐに相談に行ける、身近な法律事務所」をモットーに法律事務所を運営。

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