2019年08月12日 10時04分

「長期収容は拷問で、人間社会において異常なことだ」入管収容所で起きたハンストの意味

「長期収容は拷問で、人間社会において異常なことだ」入管収容所で起きたハンストの意味
ナイジェリア出身のエリザベスさん(2019年8月4日/ライター・碓氷連太郎撮影/東京)

法務省の収容施設で、在留資格のない外国人の収容が長期化している。この問題をめぐっては、収容されている外国人たちが、食事を拒否する「ハンガーストライキ」(ハンスト)による抗議をおこなっている。だが、これまでに改善はみられていない。

こうした状況を広く知ってもらおうと、入管問題について考える有志のグループが8月4日夜、東京・新宿で「緊急街頭アピール」をおこなった。午後6時を過ぎても、気温は30度を超えていたが、街頭には約150人があつまった。(ライター・碓氷連太郎)

●専門家から「不当な人権侵害だ」と批判されている

福島みずほ参院議員が法務省に請求して提出されたデータ(2018年7月31日)によると、退去強制処分となって、同庁の施設に収容されている外国人は、1309人にのぼっている。

このうち、709人は6カ月以上収容されている。収容期間に定めはなく、5年以上も拘束されている人もいることなどから、専門家などから「不当な人権侵害だ」と批判されている。

こうした中、茨城県の東日本入国管理センターや長崎県の大村入国管理センターなどで、収容されている外国人たちがたびたび、長期収容に抗議する「ハンガーストライキ」をおこなっている。

●「何年も収容して、自由を奪うことは拷問だ」

この日のアピールは、入管問題について考える有志のグループ「FREEUSHIKU」が呼びかけたもの。JR新宿駅・東口前広場には、「入管長期収容は拷問です」などと書かれたプラカードが並んだ。メンバーの30代男性は次のように語った。

「全国にある収容施設で、たくさんの外国人の方々が在留資格がないということで、無期限で囚われています。今、歴史上なかった規模のハンガーストライキがおこなわれています。

『在留資格を得られない外国人はいくらでも収容していい』『ご家族と切り離していい』『痩せて死にそうになってもそのまま無期限で入れ続けていい』。そういうことは、人間の社会において異常なことで、あってはいけない」(30代男性)

退去強制処分になった外国人の中には、母国で迫害のおそれがあることや、日本に生活基盤があることなどから、戻りたくても戻れない事情を持った人たちが少なくない。

難民申請しても、基準が厳しいため、ほぼ認められず、結果的に「不法滞在」となってしまうケースもある。

先の30代男性は、国がそんな彼らをまるで犯罪者のように扱っているとして、「何年も収容して、自由を奪うことは拷問だ」と訴えた。

●「なんで助けない?なんで?」

画像タイトル 大橋毅弁護士(2019年8月4日/ライター・碓氷連太郎撮影/東京)

この日のアピールには、難民を支援している大橋毅弁護士や、先の参院選で初当選した石川大我参院議員(立憲民主党)、仮放免者本人も駆けつけた。

大橋弁護士によると、2016年ごろから、収容の長期化が顕著になったという。

「逃亡や証拠隠滅のおそれがあれば、拘留するのが刑事裁判の原則だが、入管はそういう必要性がなくても、捕まえておくことができる。それでも4年前(2015年)は、収容してから1年で仮放免が出ると推測ができたが、今は長期収容が普通になっている」(大橋弁護士)

石川議員は、同性愛者であることをカミングアウトしたイラン人難民、シェイダさんの事件をきっかけに入管問題に取り組むようになったという。シェイダさんは帰国すると、死刑になる可能性があり、日本にオーバーステイして、収容されてしまったケースだ。

石川議員は「議員になって最初に取り組むのは、この入管問題になりそうです。是非一緒に変えましょう」と述べて、長期収容の解決に意欲を見せた。

ナイジェリア出身で、仮放免中のエリザベスさんが、マイクを強く握りながら「日本人も外人も、腕を切れば、赤い血が出る。なぜ差別する?」「なんで助けない?なんで?」 と日本語で叫ぶと、集まった人たちから大きな拍手がわいた。

●「日本で生きていく時間を奪われてはならない」

約1時間半のアピールに参加した都内在住の20代男性は「ハンストしている人たちを命の危険にさらさないために、今すぐに運用を変えることが必要です」と話した。

「収容者に対する権限は出入国在留管理庁が持っているものの、国の方針が外国人をどう扱うかを決めています。政治が日本に滞在する外国人に責任を持つべきですが、人権状況を根本的な部分から変えていこうとすると時間がかかり、収容者に健康被害が出る可能性があります。だから、まずはすぐに、2016年以前の体制に戻すべきではないでしょうか」(20代男性)

ツイッター上で長期収容者の問題について知ったという30代女性は、東京出入国在留管理局(東京・品川)でおこなわれた長期収容への抗議に参加したことがあるそうだ。その際、収容者の叫び声が聞こえてきたことが、今も忘れられない。

「人間の心はみんな同じで、社会の一員と認められることが必要です。外国人だからという理由で、日本で生きていく時間を奪われてはならないと思います」(30代女性)

●「Change.org」で署名運動を展開

「FREEUSHIKU」は現在、オンライン署名サイト「Change.org」で、法務局と出入国在留管理局に対する署名運動を展開している。無期限・長期収容をやめることや、人権の原則に照らして仮放免を与えること、法律の恣意的な運用をやめること--などを訴えている。

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