ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害にあったとして慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が7月8日、東京地裁(鈴木昭洋裁判長)で開かれた。
伊藤さんは「やめて、痛いと伝えてもやめてくれなかった」と証言、山口さんは「同意はあった」と話し、双方の主張は対立した。
●「痛い痛い」「やめて」と伝えた
伊藤さんは山口さんと食事をしていた寿司屋で2回目のトイレに立ってから、山口さんが宿泊していたホテルの部屋で目覚める午前5時ごろまで「記憶がない」と証言。
下腹部に痛みを感じ目が覚め、馬乗りになっていた山口さんに「痛い痛い」「やめて」と伝えたという。「お酒を飲んだ中で記憶をなくしたことがなく、起きたその後も意識ははっきりしていて、気持ち悪さはなかった。確証はないが、レイプドラッグを使われたのではないか」と話した。
また、目覚めてから、咄嗟に英語で「どうしてこれから一緒に働く人にこんなことをするのか。妊娠したらどうするのか」と山口さんに問いただしたと言い、「尊敬していた被告がこのような行為をするとは、すぐには考えられなかった」と話した。
その後、山口さんと電話やメールをした際の対応については「上下関係を崩したくない思いがあった」、「混乱しており何もなかったように過ごすのが一番と思っていた」と話し、自分の受けたことについて自分で理解できるようになったのは友人に打ち明けた数日後のことだったという。
●「たとえどういう経緯でも性行為はすべきでなかった」
山口さんはホテルに連れて行った理由について、「タクシー内で嘔吐され、駅で降ろしても、伊藤さんは一人で帰れないと思った。自分は早くホテルに戻ってパソコンで作業をしたい気持ちで切迫しており、ホテルで休んでいただこうと思った」と説明。
デートレイプドラッグを使い意思に反して性行為をしたという伊藤さん側の主張について「事実とは異なる。デートレイプドラッグの存在すら知らず、根拠なく(原告側が)会見や本で主張するのは許せない」と否定した。
また、伊藤さんと関係を持ったことについては認めた上で、「たとえどういう経緯でも性行為はすべきでなかった」「ホテルに連れて行かない選択肢があった。お金をわたして返してあげるべきで、悔恨の念だ。社会を騒がせたことについても反省している」と述べた。