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新宿で21歳女性が男性を刺した事件の現場写真が拡散、「グロ画像」は違法になる?
【キャプション】写真はイメージです(ryanking999 / PIXTA)

新宿で21歳女性が男性を刺した事件の現場写真が拡散、「グロ画像」は違法になる?

東京都新宿区のマンションで5月24日、知人の男性を刃物で刺して、重傷を負わせたとして21歳の女性が現行犯逮捕されました。事件直後からTwitterなどのSNSで流れたのが、事件現場と思われる写真でした。画像はまたたく間に拡散し、一時期は「グロ画像」という言葉でTwitterのトレンド入りをしました。また、5月25日にも名古屋市の路上で男性を刺殺した男性が現行犯逮捕される事件があり、現場と思われる動画がTwitterなどで流れました。

自ら検索して探そうとしなくても、TwitterのTLに流れてきてしまい、これらの画像や動画をうっかり見てショックを受ける人が続出しました。こうしたショッキングな画像や動画をSNSにアップすることにはどのような問題があるのでしょうか。清水陽平弁護士に聞きました。

●「グロ画像」は違法ではないが、Twitterの禁止事項に

Twitterでこうした「グロ画像」を掲載したり、拡散したりする行為は許されるのでしょうか?

「個々人に表現の自由が認められているので、何かを発信することは基本的に自由にでき、『グロ画像』を掲載したり拡散したりする行為であっても許されるのが原則です。

誰かの権利を侵害するものでなければ、原則として掲載したり拡散することは違法にならず、不快に思われるようなものであっても、単に不快に思う程度では権利侵害にはなりません。

したがって、『グロ画像』という理由で違法とすることは難しいと思われます。

もっとも、違法でないとしても、サービスの健全な利用を促すために、利用規約で禁止事項が定められていることが普通であり、禁止事項に抵触していれば掲載したものが削除されたり、場合によってアカウントが凍結されるという措置が取られることがあるでしょう。

Twitterでは、『人の死、重篤な外傷、暴力、外科手術などについてのグロテスクな画像/動画』をすべて写実的な暴力描写とみなして禁止しています。名古屋市の事件の『グロ画像』はまさにこれに当たるでしょうし、東京都新宿区の事件の『グロ画像』は、傷口等までは写っていないようですが、血まみれの男性が倒れていることは確認できるため、これに当たるいえると考えます」

もし、「グロ画像」の掲載や拡散を続けた場合、刑事や民事などの法的問題は生じるのでしょうか?

「『グロ画像』という理由で民事や刑事など法的問題が生じる可能性は高くないと思います。

ただ、別途、犯人(ないし被疑者)とされる人の顔が映り込んでいるなど、肖像権侵害などの問題が生じる可能性はあるといえます」

【編集部より】 「グロ画像」を予防するためには、スマホの設定で動画の自動再生をオフにしたり、Twitterの設定で動画や画像の表示をオフにするなどの手法をおすすめします。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

清水 陽平
清水 陽平(しみず ようへい)弁護士 法律事務所アルシエン
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022~2023年) の構成員となっている。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。

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