近所に住む「ゴミ奉行」の行き過ぎた行為に困っていますーー。ある20代の女性が、そんな質問を弁護士ドットコムに寄せました。
「そのゴミ奉行は、可燃ゴミの日に45リットル入りのゴミ袋を大量に持参し、ゴミ集積所に置いてある他の人が捨てたゴミを整理しています。もちろん誰もそんな仕事は誰も依頼していません」。
ゴミ奉行に理由をたずねると「猫やカラスに荒らされないようにとか、集配の人が持って行きやすいように」と、あくまでも善意のものと主張。スーパーなどの小さな袋のゴミや、口を閉めずにいい加減に出してある生ゴミなどを、大袋にまとめ、びんやペットボトルなどは分別して持ち帰っているそうです。
「善意でやってくれているようだし、集配後には掃除までしてくれています。ただ、ゴミ袋を開けて中身を確認していることもあり、個人情報が心配です。また、こういうことはプライバシーの侵害などで違法にはならないのでしょうか」と質問しています。
あくまで善意とはいえ、あけられた側にとっては不快なものではないでしょうか。ゴミ奉行に違法性はないのか、梶山正三弁護士に聞きました。
●ゴミ奉行の行為は「プライバシー侵害」で違法
「結論から言うと、ゴミ奉行の行為は個人のプライバシーを侵害するため、違法です。もちろん、やめさせることができます」
ゴミ捨て場にあってもプライバシーは主張できるのでしょうか。
「ゴミは、ゴミ捨て場に捨てた時点で所有権がなくなると考える人もいるかもしれませんが、それは誤解です。ゴミとして出して所有権を放棄しても、ゴミに対する管理権限や管理責任が無くなるわけではありません。
ゴミが世の中に迷惑をかけず適切に消えていくまでは、元の所有者に管理責任があります。責任を果たすためには権限が必要ですので、元の所有者にはゴミを管理する権限があるということです」
ゴミ奉行の行為は何が問題なのでしょうか?
「ゴミステーションに出したゴミについては、それが社会的に適切な方法で処理されるまでは、元の所有者に管理責任・管理権限があります。ゴミ奉行の行為はそれらを侵害しています。
ゴミ奉行に対しては、まずゴミ袋を自分に返すように要求し、他人のゴミ袋を勝手にチェックする行為がプライバシーの侵害であることを説明しましょう。継続的にプライバシー侵害が行われていることを証明できれば、慰謝料請求の理由にもなります」