2017年04月04日 11時21分

金型が残った「チョココルネ」で「歯にひび」、パン会社の法的責任は?

金型が残った「チョココルネ」で「歯にひび」、パン会社の法的責任は?
チョココルネ(画像はイメージです)

パン製造大手フジパンのグループ会社「フジパンストアー」(名古屋市)で2016年12月、誤って、金属製の型が入ったままの菓子パン1個が販売されていたことがあきらかになった。

報道によると、金属製の型が入っていたのは、愛知県にある商業施設内にあるフジパンストアーが運営する店舗で、手作りして販売した「チョココルネ」。型は、長さ約13センチの円すい形で、パン生地を巻きつけて焼いたあと、取り外すのを忘れていたとみられる。

このチョココルネを買って食べようとした男性から「治療中のセラミックの歯にひびが入った」という苦情が寄せられて判明したという。フジパンストアーは謝罪したうえで、男性の治療費を支払うとしている。法的には、どんな責任があるのだろうか。好川久治弁護士に聞いた。

●製造物責任法などで責任を問われる

「今回は、製造・販売された食品への異物混入によって、消費者がケガをしているケースです。

このような場合、法的には、民事上の問題として、製造物責任法または販売契約上の責任が問われます。また、規制法違反の観点からは、食品衛生法違反が問題になります」

好川弁護士はこのように述べる。それぞれどのような責任が問われるのだろうか。

「製造物責任法は、通常有すべき安全性を欠く製品(欠陥製品)によって、人の生命、身体または財産に被害が生じた場合のメーカーの損害賠償責任を定めた法律です。

被害にあった人は、メーカーの故意・過失、欠陥が生じた詳細な過程を証明しなくても、欠陥の存在と、それによって事故が生じたことを証明するだけで、メーカー側に損害賠償を請求できることになっています。

もっとも、今回は、メーカーの直営店が販売したパンに異物が混入したケースですので、購入者は、購入契約にもとづいて、契約上の付随義務違反(購入者の安全に配慮すべき義務違反)を理由として、損害賠償を請求することもできます。

また、異物が混入した食品を販売し、人の健康を損ねた点は、食品衛生法に違反する可能性があります。あくまで一般論として、営業者は、行政から、該当食品の廃棄・回収等の危害除去措置を命じられたり、営業停止等の処分を受けたりする可能性があります」

今回のケースで、歯にひびの入ったという男性は、どういうことを求めることができるのだろうか。

「パンに金型が混入していたという、あきらかに食品の安全性に欠ける製品の事故といえます。これによってケガをした場合、事業者に対して、製造物責任法ないし契約上の義務違反を理由として、ケガの治療費や通院のための交通費、治療のために仕事を休んだことによる休業損害、通院にともなう慰謝料など、損害賠償を請求することができます。

なお、パンを購入した男性側に、損害の発生や拡大について落ち度があれば、事業者が賠償すべき損害額は減額されます。

しかし、報じられているかぎり、混入した金型もさほど重量のある物体のようには思えませんし、男性もまさかチョココルネに金型が混入しているとは思わなかったでしょうから、少なくとも損害の発生について、男性側の落ち度を認めることは難しいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

好川 久治弁護士
969年、奈良県生まれ。2000年に弁護士登録(東京弁護士会)。大手保険会社勤務を経て弁護士に。東京を拠点に活動。家事事件から倒産事件、交通事故、労働問題、企業法務まで幅広く業務をこなす。趣味はモータースポーツ、ギター。
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