近年、社会問題として認知されるようになってきた「ギャラリーストーカー」。画廊にいる作家に付きまとうなどの迷惑行為をする客のことをこう呼ぶ。追い詰められた作家が創作活動に支障をきたすなど、深刻な影響も発生している。
そうした中、大阪市の画廊「芝田町画廊」が1月20日、ツイッターでギャラリーストーカー対策を公表して、大きな反響を呼んでいる。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
●「具体的ですばらしい」と賞賛された対策
「ストーカーによる嫌な事件が続きます。ギャラリーストーカーについても以前から言われておりますが、なかなか無くならないのが現状です。それを踏まえて、弊画廊での対策を強化したいと思います。何卒、ご理解のうえ、ご協力をお願いいたします」
芝田町画廊(@shibatacho)のアカウントはこう投稿して、ギャラリーストーカー対策として次のような行為をやめるようを呼びかけた。
・家族、友人でもないのに作家を呼び捨て、又はちゃん付けで呼ぶ。(ギャラリーで会ったことあるだけで友人とはいいません) ・長時間作家を独占して話し込む。 ・作家のプライベートや連絡先などを聞く。 ・作家とギャラリー以外で会うことを要求する。 ・SNS等でも作家に対する上記の行為はお止め下さい。
ストーカーによる嫌な事件が続きます。
— 芝田町画廊 (@shibatacho) January 20, 2023
ギャラリーストーカーについても以前から言われておりますが、なかなか無くならないのが現状です。
それを踏まえて、弊画廊での対策を強化したいと思います。
何卒、ご理解のうえ、ご協力をお願いいたします。 pic.twitter.com/bJehMhsBl0
これを受けて、作家からは「具体的ですばらしい」と賞賛の声があがった。また、ツイッター上で「コミケでもある」「文学系の集まりでもある」「舞台女優の男性ファンを連想」「演奏家界隈でもある」など、他のジャンルでも似たような被害があることが報告された。
●具体的な対策で「抑止効果」ねらう
なぜこのような対策をとることにしたのか。芝田町画廊の責任者、吉田隆博さんは弁護士ドットコムニュースの取材に対して、次のようにコメントした。
——これまでにどのような被害があったのでしょうか?
弊画廊ではそれほどの被害はないのですが、初めて会った作家や、2~3度会ったことのある作家に対して、非常に近い距離感でなれなれしくしたり、とにかく若い作家を捕まえて、上から目線で作品の批判や酷評をする、いわゆる説教おじさんがたまに現れます。ただ、作家さんや他のギャラリーさんからはつきまといやセクハラなどの行為も聞くので、今さらながらですが、対策を取りました。
——今回、対策を公表された理由を教えてください。
以前から、「お客様や出展者を守り、気持ちよくご覧いただくために、『暴言、暴力、セクハラ、ストーカー行為とみなされる言動』などの迷惑行為があった場合、強制退去命令や警察への通報などを行うことがあります」という文章はホームページなどに記載してきました。
具体的にセクハラやストーカー行為とまではいかなくても、前文のように作家が迷惑してる行為がありますので、今回、具体的な事柄を挙げることによって抑止することと、注意をしやすくすること、また実際迷惑行為をする方は自覚してないことが多いので、これを見て気づいてもらえたらと思い投稿しました。