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2021年04月12日 10時05分

「日本人はロリコンが多い」は偏見にすぎないのか…「少女」に群がる大人たちを捉えた海外ドキュメントがヤバい

「日本人はロリコンが多い」は偏見にすぎないのか…「少女」に群がる大人たちを捉えた海外ドキュメントがヤバい
『SNS-少女たちの10日間-』のワンシーン。©2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved.

チェコに住む「12歳の少女」3人がSNSで友だちを募集した。すると、10日間で2458人もの大人が連絡をとってきた。だが、実は、彼女たちは幼い顔立ちではあるが、18歳を過ぎた女優で、やりとりはすべて撮影されている。そうとも知らず男たちは「少女」に裸の画像を要求してきて――。

映画『SNS-少女たちの10日間-』は、そんな大人たち(ほとんどは男性)と女優3人のリアリティーショーを記録したドキュメンタリー作品。2020年、チェコで公開されて以降、警察が犯罪の証拠として捜査を始めた衝撃作だ。(ライター・玖保樹鈴)

●ネット上で被害に遭う子どもが急増していた

同作が生まれたきっかけは2017年秋、ヴィート・クルサーク監督のもとにチェコの通信会社から、動画作成の依頼があったことだった。

ネット上で虐待被害に遭う子どもが急増していることを周知させるというものだ。その作成のために、クルサーク監督は、同僚のバーラ・ハルポヴァー監督とともにリサーチを重ね、SNS上に「12歳の少女・ティンカ」という偽アカウントを登録した。

すると、5時間あまりで、23歳から68歳まで、83人の男性が、コンタクトをとってきた。ティンカが姿を現さないのにウェブカメラ越しに自慰行為をする者まで現れたという。

このことに衝撃を受けた2人は、撮影スタジオに3つの子ども部屋を作り、幼く見える女優3人に「12歳」のふりをさせる長編ドキュメンタリーの制作にかかった。

●画面越しに「局部」を見せつける大人たち

104分の映像に収められた大人たちは、1人を除いてほぼ全員が、3人に性的なトークや裸画像の送信を求めたり、直接会うことを要求している。画面越しに局部を見せつけたり、恫喝したり、急に態度を変えて心を揺さぶろうとしたりする者も少なくない。

彼らの顔にはモザイクはかかっていないが、ほとんどが少女たちの親と言ってもおかしくない年齢だ。中には、子どもを対象にしたキャンプの責任者までもが参加していた。

「アニメの影響なのか、日本の男性は年若い少女を好む傾向にある。一方で欧米の男性は、成熟した大人の女性を好む」。こんな俗説があるが、今回の作品を見る限りでは、チェコでも、子どもが性的な対象にされていることがわかる。

しかし、クルサーク監督は「小児性加害者だけが、少女を性的対象にするわけではない」と指摘する。

「大人の男性がなぜ子どもを性的対象にするかというと、誰もが小児性加害者だからではないと思います。

12歳ぐらいの子どもは、大人の言うことを素直に聞きますよね。もう少し年上になると自分の意思で誘いを断ることができるので、若いほうが支配しやすいからではないでしょうか。また少女は容姿を褒められたり、『かわいいね』と言われたりすることに弱いので、操りやすいのだと思います。

この作品が日本で公開されるにあたり、私の知人から『日本人は若い子が好きで、ロリコンが多いんでしょ』と言われたことがありますが、僕はそれは違うと思います。『●●人にはこういう人が多い』というのは思い込みに過ぎない、偏見に近い考えだと思います」

画像タイトル 『SNS-少女たちの10日間-』のワンシーン。©2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved.

●「12歳ではない」と疑った者はいなかった

チェコでは、10代女性の多くがメイクをしたり、SNS上の画像を加工したりしているので、16歳や17歳に見える12歳の少女も少なくないそうだ。とはいえ、大人の女性が演じていることを気付いた者はいなかったのだろうか。

「3人にコンタクトを取ってきたのは2458人、そのうち約40人は同性愛者の女性でしたが、疑う人はいませんでした。

撮影用の子ども部屋を作る際に、チェコでは、12歳は小学校7年生にあたりますので、7年生の教科書を置くなど、とにかくディテールに気を配りました。

また、助監督が実際に12歳の少女から、これまでに男性から性的な話をされたかについてのヒアリングをしたり、子どもが間違いやすいチェコ語の文法や流行り言葉などを研究して、完璧な12歳を作ったのです」

オーディションで選ばれた女性たちは、最初のうちこそ余裕が感じられる対応をしていた。しかし、恥も外聞もなく性的な話題ばかりを振ってくる男性に接するうちに、ひどく戸惑うシーンも見られるようになる。

撮影中は、精神科医や性科学者が彼女たちのケアにあたっていたが、クルサーク監督によれば、戸惑いの理由は恐怖感だけではなかったそうだ。

「撮影前の3日間、撮影なしで本番と同じことをしました。その間に『かなり辛い状況になるので、降りるなら降りてもいい』と言っていたんです。

3人とも最初はプロによるケアを必要ないと言っていましたが、途中から利用するようになりました。しかし、『怖くて眠れない』というものではなく、『なぜ男性はこんな行動をとるのかを理解したい』といったことを精神科医に相談していたのです」

●児童虐待への意識に一石を投じた

同作の公開後、監督のもとにチェコ国内における3つの省(役所)から連絡があり、うち1つ、教育省(日本の文科省に相当)の担当者は、性教育を小学校3年から取り入れるようにカリキュラムを改正していくと語ったそうだ。

また、3人に接触してきた52人の男性と1人の女性が、児童虐待の容疑で捜査されて、うち8人の裁判がすでに始まったという。

さらに、10代の子を持つ親からも「子どもがお風呂場の鍵をかけて、中で通話をしている」などの相談を受けることもあり、チェコの社会全体での児童虐待への意識に一石を投じる作品となった。

●子どもの性被害の責任は大人にある

警戒心なく無邪気にSNSに飛び込んでくる子どもと、彼・彼女たちを性的に消費したい大人のどちらに責任があるのか。クルサーク監督は「悪質な行為をなくすことは難しい。それよりも教育や家庭での信頼が大事だ」としたうえで、何より親の責任が大きいと見ている。

「思春期の子どもたちは、大人からのプレッシャーに怯えてしまうものですが、それ以上に怯える相手は親です。

実際に2020年、チェコでは14人の子どもがネット上で圧力をかけられたことを苦に自殺しています。親に相談できる環境であれば、この自殺は防げたのではないか。だからこそ、親と子の信頼関係が大事で、親のほうから『何かあったらすぐに相談して』と言える環境を作ることです。

子どもは自分の行動には責任が持てないし、経験が豊富な大人が、アメとムチを使い分ければ、従わざるをえなくなります。子どもたちが性的な被害に遭う責任は、完全に大人の側にあると思います」

少女に扮して被害に遭う女優たちを気の毒と見るか、群がる大人たちを滑稽と笑うか、それとも自分のことのように受けとめて恥じるか、逆に騙した監督に憤るか。何を感じるかによって、子どもを性的対象にすることを自分がどう思っているかが、ハッキリすることだろう。

・2021年4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
・公式HP: www.hark3.com/sns-10days

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  • 『SNS-少女たちの10日間-』のワンシーン。©2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved.

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