コロナ禍であってさえも、クリスマスケーキの予約販売は好調だったようです。
ツイッター上では、昨年大ヒットした『鬼滅の刃』のキャラクター、炭治郎や禰豆子、善逸、しのぶが描かれたイラストケーキが注目を集めました。ここで気になるのが著作権の問題です。
ケーキ屋の中には、漫画やアニメのキャラクターのイラストを描くサービスを受け付けているところがあります。少し値は張りますが、クオリティが高いので、子どもだけでなく、大人にも人気を博しています。
鬼滅の場合、人気を受けて、「公式」のイラストケーキも販売されていましたが、SNS上でたくさん「いいね」が付いていたのは、どうやらそうではなさそうなものでした。
クリスマスシーズンは終わりましたが、おそらく誕生日などにも注文されるでしょう。はたしてケーキ屋に頼んで、こうしたキャラクターを描いてもらうことは問題ないのでしょうか。著作権にくわしい桑野雄一郎弁護士に聞きました。
●複製権の侵害にあたる可能性
――キャラクターのイラストをケーキに描いてもらうのは問題ないのでしょうか。
キャラクターのイラストは「美術の著作物」として、著作権法で保護されています。
こうしたイラストをケーキに描くことは、著作権法の「複製」にあたります。著作権者の許可がなければ、複製権の侵害となってしまいます。
――家でケーキをつくる場合はどうでしょうか。
たとえば、家庭内で、子どものためにキャラクターを描いたケーキを作ることは、著作権法の例外規定である「私的使用目的の複製」にあたると考えます。私的使用の範囲内であれば、複製権侵害とはなりません。
恋人や親しい友人のために、個人的に作ることも、同じように複製権侵害にはならないと考えてよいでしょう。
ただし、私的使用目的の複製は、あくまで自分で複製をすることが前提です。したがって、このような目的があっても、ケーキ屋に頼んで作ってもらう場合は、例外規定の適用はないでしょう。
――ほかに注意すべき点はありますか。
また、私的複製にあたる場合でも、そのケーキの写真をホームページやSNSに投稿したりすれば、「公衆送信権の侵害」となりえます。