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2020年04月23日 16時00分

大学のオンライン授業「学費にみあわない」不満爆発…返還してもらえるか?

大学のオンライン授業「学費にみあわない」不満爆発…返還してもらえるか?
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

「こんなの授業と呼べるのか」「授業料に見合っていない」。新型コロナウイルス感染拡大は、大学の授業にも衝撃を与えている。

大学側は、キャンパスを立ち入り禁止としたり、オンライン授業を導入するなど対応しているが、一部の学生から不満があがっている。

オンライン署名サイト「Change.org」で、授業料や施設利用料の返還を求めるキャンペーンも立ち上がっている。はたして、法的に、授業料等の返還をもとめることはできるのだろうか。

●授業料の返還をもとめる「オンライン署名」

ある美大生は、ツイッター上で次のような悲鳴をあげた。

「通信での授業って、美大で意味あるの…??座学ある学科とはいえ、実技と出会いありきのこの学費なら、まあ、まあ、しょうがないと思って来たんだけど…??せめて前期は減額とかないの…?見合ってないよ………通信でこの値段は納得できないよ…………」

また、別の学生は「オンライン上で行う講義は直接対面して行うものに比べて不十分な内容であることは明白だ」「例年と同じ授業料を払うことについて、納得できるものではない」として、大学側に授業料や施設利用料の返還をもとめる署名を呼びかけている。

●新型コロナは「大学」に落ち度がない

法的にはどのように考えればいいのだろうか。秋山直人弁護士が解説する。

「4月からの新学年を迎え、本来であればキャンパスで、新しい出会いが生まれるこの時期に、新型コロナウイルス感染拡大のため、キャンパスにすら入れず、学生のみなさんは辛い思いをされていることと思います。

教授やほかの学生とも会えず、実習の指導も受けられず、学費に見合った教育の機会を受けられていないことに不満を抱く気持ちは自然であり、十分に理解できます。しかし、今回のキャンパス立入禁止等の措置は、大学側に責任があるものではありません。

ご承知のように、新型コロナ感染拡大の状況から、政府により緊急事態宣言が出され、東京都等では、知事からの休業要請も出ていることから、感染拡大防止のためにやむを得ず、大学はキャンパス立入禁止等の措置を取っているものです。

したがって、法的には、大学側に『帰責事由』(責められるべき理由・落ち度)のある事態ではないため、大学側の債務不履行責任(契約違反の責任)を追求するということは困難です。

学生にとって、期待に見合う教育がまったく受けられないということであれば、自主退学するなどして、今後の学費の負担を免れることは可能です。しかし、在学を続けて、単位認定や卒業資格認定をもとめる一方で、すでに払った授業料の返還を法的に請求することは難しいでしょう」(秋山弁護士)

●施設利用料の返還もむずかしい

「大学側としても、困難な状況の中で、オンライン授業などの模索をしているのでしょうから、できる範囲での対応をしていると評価できる限りは、大学側がその債務をまったく履行していないとみることもできません。

施設利用料についても、大学が教育施設を維持・整備していく費用がかからなくなったわけではありませんから、授業料と同様に返還請求は困難だと思います。

たとえば、オンライン授業に必要なノートパソコン、Wi-Fiの機器等を学生が準備する費用を大学が一部負担することを求めたり、新型コロナ感染拡大に伴い収入が減少した世帯の学費支払の猶予を求めるといったことを大学側に働きかけていくことは十分合理的だと思います」(秋山弁護士)

たとえば、明治学院大は4月21日、(1)ネット環境整備・パソコンの準備のため、学生1人あたり5万円支給する、(2)家計が急変して、勉学の継続に支障をきたした学生を対象に特別な奨学金を検討する、(3)授業料の納期期限を延長する――と発表した。

しかし、明治学院大は、授業料・施設費の返還・減額は考えていないとしている。

●「誰にも予測できなかった未曾有の災害だ」

「繰り返しになりますが、感染拡大防止のために教育サービスの質が低下することを理由にすでに払った学費等の返還を求めるというのは、法的には難しいです。今回の新型コロナ感染拡大は、誰にも予測できなかった未曾有の災害であり、誰かが悪いという問題ではありません。

学生のみなさんは、大変辛い状況だと思いますが、感染終息を祈りつつ、『ステイ・ホーム』に協力して、日ごろは時間がなくてあまりできないことに時間を使ってみてはいかがでしょうか。一日も早く感染が終息することを祈念しております」(秋山弁護士)

まだまだ、新型コロナの混乱はつづきそうだ。ある学生団体が4月22日、学生生活をつづけることが困難になるおそれがあるとして、国に対して「授業料の免除」をもとめる提言をおこなった。こちらの動きも注目をあつめる。

取材協力弁護士

秋山 直人弁護士
東京大学法学部卒業。2001年に弁護士登録。所属事務所は溜池山王にあり、弁護士3名で構成。不動産関連トラブルを中心に業務を行っている。

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